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2017.5.02

加減上手になる


精神科医、斎藤茂太氏の心に響く言葉より…

私が体得した最良の経験則のひとつに「加減(かげん)上手になる」ということがあります。

ここで言う加減とは、一言で言えばバランスということです。

はじめに断っておきますが、私がいつも加減上手だったということではありません。

むしろ、これまで何度も、自らの加減下手を意識したほどです。

そして、その度ごとに、もっと加減上手にならなければいけないと思い、自分なりにあれこれと思案し工夫した結果、何とか「まあまあの加減上手」になれたということなのです。

ですから、ここでは、私自身の加減下手からの脱出のヒントを紹介することによって、楽しい人生のキッカケがつかめればと念じております。

それはひとつの名言から始まりました。

「完全を望むと麻痺(まひ)が来る」

この言葉は、イギリスの名宰相・チャーチルが言った言葉です。

完全を望むということは、いささかのミスも許されないこころの状態です。

こころが最大限に張りつめた状態ということです。

一瞬の後には破裂してしまうかもしれないのです。

どんな人にも挫折や失敗はついてまわるものです。

こころに麻痺が生じないためには、完全を望まない、つまり程よいバランスをとらねばならないということです。

私は、ここまで理解できたときに、「加減」という言葉に思いを馳(は)せたのです。

そして、この言葉を日常の「しゃべり言葉」に移し替えてみたときに、「手加減」「さじ加減」「いい加減」をメモに記し、どうやら人生のコツは、こんなところにもあると実感したのです。

「手加減」を『広辞苑』で見ると、「相手の程度・場合に応じて、ほどよく調節すること。手ごころ」とあります。

また「さじ加減」は、もとはクスリの調合具合を意味するときに使われました。

気になるのは「いい加減」です。

デタラメとか、どうしようもない、というような意味に使われることが多いのですが、『広辞苑』には「よい程合い」ともあります。

温泉に浸かったときに、思わず「いい湯加減だなあ」と、よく口に出します。

とても気分がいい、最高!と、こころのなかで呟(つぶや)いたリもします。

私は、むしろ「いい加減」という言葉には、大切なことがたくさん含まれているという思いが強いのです。

現代は、すべてが慌(あわ)ただしく、いつでもどこでも何かに追われる時代です。

こんなときこそ、「手加減・さじ加減・いい加減」と、こころのなかで呟いてみて、自らに、ゆとりある豊かな「こころの花園」をつくっていただきたいのです。

『人生に必要な100の言葉 (青春文庫)』


対人関係のコツは、「相手を片目をつぶって見るくらいがいい」と言う。

もっと言うなら、「片目はつぶり、もう片方も薄目でぼんやり見る」くらいがちょうどいいのかもしれない。

人は、どうしても相手のアラや短所に目がいってしまう。

そして、相手に完璧を求める。

親が子どもに対する接し方もそうだ。

自分が子どもの頃、できもしなかったことを子どもに求める。

「いい塩梅(あんばい)」という言葉がある。

塩梅とは、料理の味加減、具合、程度のことをいう。

つまり、「いい加減」ということ。

「手加減・さじ加減・いい加減」

加減上手な人になりたい。


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