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2017.4.20

争うと運が悪くなる


弁護士、西中務氏の心に響く言葉より…

私は半世紀近く弁護士をして、本当に大勢の人々の人生を見せてもらいました。

民事、刑事の仕事の全てを合わせれば、依頼者はのべ1万人を超えるでしょう。

1万人もの人生を見てきた私にはわかるのですが、世の中には、確かに運の良い人と悪い人がいます。

例えば、運の悪い人は、同じようなトラブルに何度も見舞われます。

《良い人と付き合う》

運を良くするコツの一つは、これです。

弁護士をして、大勢の人々を見ていて気づいたのは、「良い人の周囲には良い人ばかり」なのに、「悪い人の周りには悪い人ばかり」という不思議な事実です。

裁判の依頼者でも相手方もそうですが、しょっちゅう争い事を起こしている人には、他人を陥れたり傷つけたりしても自分が得をしたい「悪い人」がよくいます。

そんな人の関係者を調べてみると、やはり同じようなタイプの「悪い人」ばかりが、ぞろぞろと出てくるものなのです。

運を良くしたいのなら良い人と付き合う。

これが、弁護士の経験則です。

《争うと運が悪くなる》

つくづく感じるのは、「争っていいことは何もない」ということです。

たとえ、訴訟に勝って大金を手に入れたところで、運を悪くしては何もなりません。

実際、争いで手に入れたお金はすぐに失うことになります。

意外かもしれませんが、「争わないほうがいい」とは、弁護士の基本です。

離婚にせよ、倒産処理や遺産相続にせよ、争い事が起こって裁判になれば弁護士はより大きな報酬がもらえます。

争いを避けてしまえば、もらえるのはせいぜい相談料くらいで、さほど利益にはなりません。

だから、弁護士は依頼者が争うように仕向けていると思われがちのようですが、それは事実とは違います。

裁判は依頼者にとって最も不利な決着だと言っているだけなのです。

裁判が不利な決着なのは、勝っても負けても恨みが残るからです。

不思議なことに、裁判で勝った後に不幸になる人が珍しくありません。

勝訴を勝ち取った後に会社が倒産したり、不渡り手形をつかまされたり、経営者が交通事故にあったりする例を数々見てきました。

きっと恨みを買ったために、運が落ちてしまったのでしょう。

争いは恨みを残し、運を落としてしまう。

どうか、決して忘れないでいてほしいものです。

『1万人の人生を見たベテラン弁護士が教える「運の良くなる生き方」』東洋経済新報社


孫子の兵法の中の有名な言葉がある。

「百戦百勝は、善の善なる者に非るなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり」

百回戦って百回勝つのが最善の方法とは言えない。

戦わずして、勝利を得るのが最善の方法だ。

全戦全勝で勝ったとしても、必ず双方に被害は出る。

そして、負けたほうに恨みが残る。

だからこそ、知恵の限りを尽くし、争いにならないようにすることこそが最上の方策。

善き人と付き合い、争いをさける人生でありたい。


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