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2017.4.15

自分の匂いを生かせ


冨山和彦氏の心に響く言葉より…

グローバル化しないと生き残れない、という時代背景もあるのだと思います。

楽天やファーストリテイリングなど「英語を社内公用語にする」企業が一時期話題になりました。

社内に危機感を与えるショック療法的な意味合いは理解できますが、そこには大きなリスクも潜んでいます。

英語化の意味することが、脱日本や日本的なるものの否定だとすると、結果として企業を“無色透明”化し、競争力の源泉となっている「その企業らしさ」まで消し去りかねないからです。

考えてみれば、世界で通用している会社というのは、むしろ発祥の地の匂いが強い。

コカ・コーラはアメリカ南部の匂いがするし、アップルはシリコンバレー臭が極めて強い。

ネスレはスイス臭いし、シーメンスはドイツ臭い。

フィリップスはオランダ臭いし、イケアはスウェーデン臭いでしょう。

逆に、その体臭が薄まった結果、世界的な競争力を弱めてしまった会社もあります。

かつては世界的なブランドを誇った日本の電機メーカーはその象徴かもしれません。

企業の“体臭”というのは、極めて大切なのです。

その企業のアイデンティティを薄め、無色透明に近づけ、国際化に成功した会社というのを、私はひとつも知りません。

それはスポーツを見れば一目瞭然。

だいたい日本人がブラジル式のサッカーをやろうとしても、うまくいかない。

勤勉な日本人に合ったサッカー以外で、世界では戦えない。

また、日本では絶対的4番打者だった野球選手も、アメリカに行けば中距離ヒッターです。

世界で成功しようと思ったら、自分自身を顧みたうえで、どうやったら通用するかを考えるべきであり、外国人や外国企業そのものになろうとすることではないのです。

実際、世界で大きく成功している日本企業も、極めて“体臭”の強い個性的な企業が多い。

コマツ、ブリヂストン、キッコーマン、日本電産…。

これら世界でグローバル企業として評価されている企業が、果たして英語を公用語にしているかどうか。

日本人同士で話すなら日本語でいい。

長く世界で成功している会社は、使用する言語になど本質はないことをよくわかっています。

結局、日本人であることや、日本でその会社が発祥した歴史、沿革からは、自由にはなれないのです。

ならば、そのDNAを生かすべき。

“体臭”を徹底的に活用すべきなのです。

そして大事なことは、その“体臭”の使い方は、時代や環境によって変わっていくべきだということです。

日本の戦後の奇跡の成長は、その“体臭”の使い方が正しかったからです。

しかし、“型”は本質ではありません。

戦前の日本は欧米の帝国主義を真似て失敗しました。

今、行うべきは、今の時代、今の環境に合った“型”を見つけること。

それも“体臭”を生かしながら、です。


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本来どの企業にも、独特の体臭ともいうべき個性がある。

それを社風とか企業風土という。

これは、人においても、商品においても同じだ。

その匂いが強烈であればあるほど、熱烈に好きな人もいるかわりに、徹底的に嫌う人もいる。

選択肢が多い現代、全部の人に好かれることはできない。

匂いを前面に出すことは、角張(かどば)ることだ。

いわば喜怒哀楽をはっきりさせる、と言ってもいい。

喜怒哀楽の振幅の激しい人ほど、魅力がある。

逆に言うなら、喜びも、怒りも、哀しみも、楽しみも、ほとんど表情に表さない、能面のような人だとしたら、冷(ひ)え冷(び)えとして心が感じられない。

これは、匂いという個性も同じ。

自分の匂いともいうべき個性を大事にし、それを伸ばしたい。


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