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2017.4.12

家庭は、何のために存在するのか


小林正観さんの心に響く言葉より…

みなさんは、家族は長く一緒にいて自分の主張をし合うことが仲よしの証拠だと思っているところがあります。

でも、私はそのように家族をとらえていません。

家族とは、他人に対して言わなくてすむわがままを、目の前の家族という名の特別な存在に対しても言わないという訓練の場なのだと考えています。

あることを他人から言われたときに、その他人に対しては腹を立てたり、怒ったり、怒鳴ったり、いら立ったりしない。

ところが、同じ言葉を夫や妻、子どもから言われたら、ものすごく激昂(げきこう)して、腹を立てて、怒って、怒鳴りまくってしまうという人はいませんか?

実は結構いるのですが、そういいう性質を幼児性といいます。

つまり、この人には甘えていいという特別な感情を持っているわけです。

もしここで踏みとどまることができるなら、その人は忍耐力というのを持っているわけです。

自分で自分の感情が制御できているんですね。

それがある人との関係では制御できて、コントロールできるのに、別の人との関係ではコントロールできないというのは、制御ができないのではなくて、制御をしないのです。

家族だから、妻だから、夫だからという理由で制御しないのは、甘えているという意味でそれを幼児性といいます。

結婚というのは、幼児性の克服のための訓練の場なのです。

そこのところに気がつかない限り、多分穏やかな家庭生活というのを得ることはできません。

家族というのは、わがままを言い合うために存在するのではなく、わがままを言えるような人間関係が目の前にあって、それでなおかつそのわがままを言わないために存在するのです。

言わないということは大人になるということです。

この話をしたらある人がこう言いました。

「それではストレスをどこで発散するんだ」と。

もう一度いいます。

家庭というのはストレスを発散する場ではありません。

幼児性でわがままを振りまきたくなる状況設定をされているのが家庭。

そこで自分がいかに幼児性を振りまかないで、それを克服していくかということ。

これは業(ごう)というものですけれど、その業の克服のために、家庭というものが存在するのです。

家庭というところは、人間が成長する場所なのですね。

幼児性というものを克服するために家庭が存在するということがわかってくると、子どもとの関係、親と子の関係というものも見えてきます。

実は親が子どもを育てているのではなくて、子どもが親を育てにきているということに気がつきます。

結婚した時に、自分だけのわがままで生きてきた人生から相手が一人増えるわけです。

妻という名の家族が。

そして、子どもができたときにはもう一人別な存在ができてきます。

妻や夫や子どもが自分の思いどおりにならなかったりすると、感情をかき乱されます。

そのときに、どんなことがあってもいら立たないということの訓練の場として、実は家庭というものが存在する。

ですから、家庭はわがままを言うところではないし、ストレスを発散する場ではないのです。

『みんなが味方になる すごい秘密』KADOKAWA


昨今、親が躾(しつ)けと称して自分の子供を虐待(ぎゃくたい)したり、妻に暴力をふるったりする記事をよく見る。

そういう人には、すべて幼児性がある。

どんなに偉そうなことを言おうが、我慢ができなくて、わがままで、自分さえよければいいという、甘えの抜けない幼児と一緒だ。

大人になりきれない幼児性のある人は、わがままを振りまきたくなる状況設定をされている場(家庭)で、自己コントロールができない。

これは家庭だけでなく、たとえば飲食店や小売店で、「お金を払っているから私はお客だ」と威張ったり、怒鳴ったり、いら立ったりする人も同じ。

あるいは、会社の中で上司が部下に接する態度も、年配者が若者に対する態度もみな同じ。

幼児性があるから、ものすごく激昂(げきこう)したり、腹を立てて怒ったり、怒鳴りまくってしまう。

「家庭はわがままを言うところではないし、ストレスを発散する場ではない」

大人になる修行を続けたい。


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