2017.4.9 |
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貴君が校則になりたまえ |
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佐藤芳直氏の心に響く言葉より…
冬の研修の席で若手女性社員がこんな質問をしました。
「会長(舩井幸雄)のような人間性に近づくには、どうすればいいのでしょう?」
「まず、人間性を高めることが人間の使命だと思いなさい。
そのためには労を惜しまないことです。
周囲の人々に誠意を示しつづけようと覚悟を決めたらいいのです。
これを実現する方法は、日常にたくさんあります。
たとえば、とにかく手紙を書いてごらんなさい。
相手を喜ばせよう!
そう思って書くことだよ」
さらに先生は、次のように続けました。
「相手に喜んでもらおうと思って書くと、小さなことに気づくようになる。
それが思いやりにもつながっていくんだよ」
人間性を高める…そんな大きなテーマに対して、すぐに取り組める日常の行動を示す。
そこに舩井先生の真剣さを感じたものでした。
分け隔てすることなく目の前の人の未来のために全力で応える先生の姿に、“労を惜しまない”姿勢が表れていると思います。
何か問題が発生した場合、経営コンサルタントは多くを仕組み=システムの課題ととらえがちです。
しかし、さまざまなケースを見て教えられるのは、“仕組みではなく、モラルにこそ課題がある”ということです。
モラルとは何でしょうか?
舩井先生の傍にいて、いつも思っていたことがあります。
「喜んで大変なことをしてお客さまや目の前の人に喜んでいただく。
その手間を惜しまない姿勢をモラルという」
先生自身の行動を見て、いつも教えられていたことです。
その行動を無意識かつ自然に実践できるか否かが、人間性なのでしょう。
「成果なくして成長なし」
成果とは何か?
人間の成長にとって大切なことは、成果の定義にあるのです。
何を成果とするか?
そのベクトルによって、人間の成長の方向性はまったく異なるものになります。
舩井先生は、いつも一つの成果への道筋を示されていたように感じます。
“人間の完成”…もちろん、完成するはずはないのですが、生まれた以上、人間として完成を目指して生きなさいと常に導かれていたのです。
企業の経営の目的は、経営理念に盛り込まれているはずです。
そして経営理念とは、企業人として何を大切に生き、それを仕事に結実させるか、そのガイドラインです。
ですから、常に言葉にしなければならないのです。
そして、経営理念を日常のなかで実践できる人間になることが人としての成長なのです。
とすれば、企業の経営理念は、それだけ人間としてのあり方を純度高く示すものでなければなりません。
征韓論に敗れた西郷隆盛は、故郷・鹿児島に隠遁します。
そして、西郷を慕って集まってきた若者のために私学校を設立します。
明治7年、私学校の代表役にと決めていた篠原国幹が西郷に一つの質問をしました。
「私学校の校則を定めたいが、どうしましょうか?」
その問いに、西郷は有名な言葉を返すのです。
「貴君が校則になりたまえ」
つまり、篠原自身が、日々の立ち居振る舞いで生きた校則となり、人間としてのありようを示せと伝えたのです。
私は、この逸話が大好きです。
そして思うのです。
舩井先生は常に人間性のありようを言葉ではなく、生きる姿で示してくださっていたと。
人間にとっての一生の成果とは、人間性を高めつづけるべく生きたという一点にあるのでしょう。
そして、仕事は人間を完成させるべく私たちの前にあります。
『舩井幸雄がこの世に遺してくれた魔法の言葉 ツキと成功を呼び込む言霊の力』徳間書店
「親の背を見て子は育つ」
という言葉がある。
子どもは、親が日常とっている行動や言動を見て、それを自分の常識や規範とするという意味。
礼儀作法も、掃除も、言葉遣いも、思いやりも、勉強する姿勢も、すべて親がしているのと同じように子どもは育つ。
だからこそ、人は一生かかって、自分の人間性を高め続けなければならない。
まわりは、その後ろ姿を見ているからだ。
「喜んで大変なことをしてお客さまや目の前の人に喜んでいただく。その手間を惜しまない姿勢をモラルという」
人間性を高めるため、労を惜しまない人でありたい。 |
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