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2017.3.29

人に与えなさい、稼がせなさい


江上治氏の心に響く言葉より…

人生の正解は、意外なところにあります。

お金を稼ぐという面で考えても、他人のために手を貸す、何かを与えるという考え方は効果的です。

自分がまずお金を稼ぐというよりも、「人に与えなさい、稼がせなさい」と考えるほうが正解なのです。

これにはきちんとした仕組みがあるのですが、「人に与える人」とは、自分の持つ資源を与えて、相手の社会的な価値、人間的な価値を上げてくれる人で、けっして自分中心ではなく、視線がいつも他人に向けられていますから、人に好かれます。

しかも、好かれるだけでなく、その人の恩恵にあずかった人たちから返報がなされます。

返報とは、恩返しといってもいい心理です。

ただ、この返報のルールを説明したとき、必ず返される言葉が、

「私には、人に与える情報も、お金も、何もない」

です。

何も持っていないから、他人に施しをすることができないというのです。

そんなとき私は「あなたの持っている資源」をもう一度考えてください、といいます。

私は、お金、スキル、人脈、時間の4つを重要な資源と考えていますが、お金やスキルといったものがなくとも、自分なりの人脈を使って、他人の悩みや問題の解決のために、だれかにつないであげることも、大きな価値を相手に与えることになります。

また、時間という資源は、すべての人平等に持っています。

この資源を有効に使う手もあります。

たとえば、時間のかかっている作業に上司が取り組んでいるとき、それを引き受けてしまうのです。

そうすれば、上司は厄介な仕事から解放され、自分の時間が増えることになります。

相手は喜んでくれるでしょうし、返報の心理も生まれることでしょう。

こうしたことは、そのつもりでまわりを見渡せばたくさんあることに気づくはずです。

これは自分の時間を使うだけで、人の役に立つのです。

ですから、どんな人にも、そしてあなたにも「資源がある」のです。

私の講座生の一人に、いまの仕事をすべて見直し、一から保険業界に挑戦したいと門をたたいた若者がいます。

彼は、講座の準備や雑用を自ら買って出て、ほかの講座生が勉強しやすい環境を、一所懸命につくる努力を続けました。

すると、彼がある保険会社の研修で難題にぶち当たったとき、講師の私も、一緒に学んだ仲間も、彼を懸命に応援し、その難題を乗り越えることができたのでした。

私は彼に、先にほかの人に価値を与えてあげることが、結局は成功の近道であることを、あらためて証明してもらった気がしたものです。

相手のことを考え、その悩み、課題をどうしたら解決できるかを考えている。

こうした姿勢は、一方でその人を大きく成長させていくことに違いありません。

そして最後に、いちばん大事なことをお伝えします。

それは、あなたが誰かの役に立つことをして、その対価としてお金を差し出されたら、「受け取る」ことです。

ありがとうございます、といっていただかなくてはなりません。

そうしなければ、あなたは単なる「いい人」で終わってしまい、お金は貯まらないばかりか、ほかのお金も入ってこなくなります。

これもお金の真理です。

《返報性の法則を発見できれば、あなたの運命も変わる》

『運命転換思考 一生かかっても身につけたい5つの「働き方」改革』経済界


安岡正篤師が紹介した言葉に「斡旋(あっせん)の才」というものがある。

これは、江戸時代後期の、神職であり久留米藩士でもあった、真木和泉(まきいずみ)の言葉だ。

斡旋とは、人と人との仲をうまく取りもったり、双方のなかだちをすることだが、その人にふさわしい人物や、物品あるいは職業などを紹介すること。

斡旋は自分のことばかり考えている利己的な人にはできない。

人の世話をいとわないおおらかな人や、人の喜ぶのを見るのが大好きな「利他の人」でなければできない。

お金やスキルがなくても、人の役に立つことは考えればいくつもある。

「身体を動かすことを厭(いと)わない(雑用を引き受ける)」、「困ったときは、昼でも夜でもかけつける(時間を使う)」、「近所や会社の掃除をコツコツやる」等々。

「人に与えなさい、稼がせなさい」

人の役に立ち、人を喜ばせることの実践を重ねたい。


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