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2017.3.25

「ゆっくり動く」と人生が変わる


順天堂大学医学部教授、小林弘幸氏の心に響く言葉より…

今、私が医師として、「一瞬で人生を変える鍵は何ですか?」と訊かれたら、それはずばり「ゆっくり」だとお答えします。

話す、歩く、食べる…そういうさまざまな動作のペースを落として、「ゆっくり」と動くことを意識するだけで、本当に、一瞬で、人生が良い方向にどんどん変わり始めます。

体が健康になり、精神は安らかになり、仕事や勉強、家事や育児のパフォーマンスも上がります。

人間関係がよくなり、周りに好影響を与えられるようにもなります。

つまり、「ゆっくり」を意識するだけで、人生のさまざまなことが「うまくいく」ようになるのです。

こうお話しすると、多くの方は「信じられない」とおっしゃるかもしれません。

しかし、これは私がここ10年進めてきた自律神経の研究で明らかになってきたことなのです。

そして、その驚くべき効果を、順天堂大学の「便秘外来」をはじめ、さまざまな臨床の現場で日々再確認しています。

また、私が担当させていただいているトップアスリートやアーティストのコンディショニング指導においても、「ゆっくり」は着実に成果を上げています。

「先生のおかげでパフォーマンスが向上しました」という彼らの言葉が、その何よりの証拠でしょう。

では、なぜ「ゆっくり」を意識することが、それほど自律神経のバランスにとって重要なことなのでしょうか。

それは、ずばり、さまざまな動作を「ゆっくり」行うようにすると、「呼吸」が自然とゆっくり深いものに変わるからです。

自律神経のバランスを整える上では、「呼吸」というものがきわめて重要なポイントとなってきます。

なぜなら、自律神経のバランスと呼吸はまさにダイレクトにつながっているからです。

浅く速い呼吸は、交感神経の働きを高めます。

すると、瞬間的なやる気やアグレッシブな気分は高まりますが、それが長く続くと、血管が収縮し、血流が悪くなり、結果、心も体もいいパフォーマンスができにくくなります。


また、人間というのは、心身ともに調子のいいときは、知らないうちに、自然にゆっくり動けているものです。

そして、そんなときの呼吸は、もちろん理想的な、自然に深い呼吸になっていますし、副交感神経の働きも上がり、自律神経も高いレベルで整っています。


逆に、何かで非常なストレスがかかったり、生活のリズムが乱れたりして調子が悪くなると、途端にゆっくり動けなくなってしまいます。

そして、そんなときの呼吸は、浅く速くなっていますので、結果、自律神経が乱れ、血流が滞り、ますます心身の調子は悪くなってしまいます。

これが、いわゆる悪いバイオリズム、あるいはマイナスのスパイラルに入った状態=スランプの状態なのです。


たとえば私も、朝、研究室に行って、「あ、今日は何だか調子が悪いな、何かイライラするな」と感じたら、いつも以上に意識して、ゆっくり丁寧に、デスクの上を片付けることにしています。

論文を整理するのでも、椅子に姿勢よく座って、丁寧に整理する。

ゴミを捨てるのでも、椅子からポイとゴミ箱に放り投げるのではなくて、立ち上がって、ゆっくり丁寧に捨てる…。

これらは些細にも思えることですが、じつはこれが非常に重要なのです。

『「ゆっくり動く」と人生が変わる (PHP文庫)』


座禅には、数息観(すうそくかん)という自分の息を数える方法がある。

吐く息だけを、「ひとーつ」とゆっくり数える方法が一般的だが、吐く息と吸う息の両方を数える方法もある。

つまり、ゆっくり数えることによって、呼吸を整えるということ。

そして、意識を呼吸に向けることにより雑念が生じにくくなる。


これは動禅(動く禅)と言われる太極拳でも同じだ。

動作をゆっくりとすることにより、呼吸が整い、気もめぐるようになる。


「腹が立ったら、自分の息をゆっくり数えてみる」という方法がある。

雑念(怒りや、イライラ)から、意識を呼吸に向けるということ。


『「ゆっくり動く」と人生が変わる』

日頃の動作を、丁寧に、ゆっくりとを心がけたい。


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