2017.2.27 |
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飲んでも飲まれず |
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櫻井秀勳氏の心に響く言葉より…
あくまでも一般論ですが、静かな男とにぎやかな男のどちらが、大勢の人にかわいがられるかといえば、間違いなくにぎやかな男でしょう。
上の立場からすると、静かな男では、心が“正気分”になりにくいからです。
正気分とは「友人、食事、運動、音楽、パーティ」などによってもたらされる、楽しい気分をいいます。
たとえば、静かな部下からは、「このパーティに行きませんか?」とか「こんな人がいるのですが、お会いになりませんか?」といった広がりを期待できません。
これに対してにぎやかな男は、よそからおもしろそうな人物や、情報を運んできます。
これによって上に立つ男のつき合いの幅を広げてくれるのです。
酒が飲めれば、とことん騒いで、相手を楽しませることができますし、たとえ自分は飲めなくても、座持ちが巧みで、最後まで客をあきさせません。
こういったタイプの部下は、それこそ金の草鞋(わらじ)をはいて探しても、見つけるのはむずかしいでしょう。
ある印刷会社の社員で、誰からもかわいがられるTさんという方がいます。
彼はいくらでも酒を飲みますが、血圧を理由にして、飲まないこともできるという、二刀流です。
このTさんの行動力は驚くほどで、それだけに私のところに来ると、新しい知識や情報をふんだんに披露していきます。
さらに座によっては、かつて津軽三味線の全日本大会第4位、という実力を披露してくれるのです。
Tさんの自慢は、いま超売れっ子の吉田兄弟の兄が第7位入賞のとき、それを上回る第4位だった、ということですが、それも納得できる鮮やかな弾きっぷりです。
酒の席でかわいがられるための5つの条件というものがあります。
1.飲んでも飲まれず
2.ふだん以上に気働きを
3.居座るでもなく、先に帰るでもなく
4.酔っても、からまず、泣かず
5.おごられてばかりではない
だから酒席はむずかしい、といわれるのですが、この5つの条件のどれか一つでも欠けたら「なんだ、あいつは!」と、いやみをいわれるかもしれません。
自分はこれらの条件を満たせないと思うのなら、酒席で、何回か失敗を重ねる覚悟で取り組むことです。
『人にかわいがられる男になれ! ――仕事がうまくいく人の「不思議な魅力」』三笠書房
安岡正篤師は、足利尊氏を一人の人物として、この一文をもって評した。
「酣宴爛酔(かんえんらんすい)の余といえども、一座の工夫を為さずんば眠りにつかず」
という酒を飲んだ後の態度だ。
宴席の後、どんなに酔っぱらって家に帰ってきたとしても、座禅をし、何かをつかまなければ決して眠らなかった、という。
「飲んでも飲まれず、酔っても乱れず」
楽しむときは楽しみ、そして陽気に大騒ぎするときは大騒ぎをする。
しかし、酔ったあと、正気を失ってはやがて誰からも相手にされなくなる。
飲んでも飲まれない人でありたい。 |
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