2017.2.21 |
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AI時代を乗り切る働き方 |
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ピョートル・フェリークス・グジバチ氏の心に響く言葉より…
みなさんは、グーグルというと、どんなイメージを持たれるでしょうか?
検索サイト、最先端の企業、福利厚生がしっかりしている…など。
そのどれもが正解ではあるのですが、中で仕事をしていて印象的だったのは、世界より速く動いて成果を上げなければいけないというグーグルの強い使命感です。
常に今の10倍の成果を上げよう、そのためにはどうしたらいいかと考え、それを実現しているのです。
たとえば、1997年にグーグルの創立者であるラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンの二人がGoogle・comをドメインとして登録したときには、そのブランド価値は0円だったかもしれませんが、2016年にはおよそ14兆5000億円を超える価値になっています。
また、年間の生産性は、従業員一人あたり1259万円。
同じ計算で日本の大手企業と比べるとパナソニックは300万円、日立製作所は311万円となりますので、その4倍近い生産性があります。
こうした差は、仕事のしかたや、組織のあり方などから生まれるものだと思います。
僕は仕事がら、日本企業にお邪魔させていただくことが多いのですが、そこで気づくことがあります。
これは、「なぜ、みなさんの仕事が終わらないのか」という問題にも通じることだと思ったので、先に理由をいくつか挙げておきたいと思います。
1.日本で仕事をしていて気づいたのは、「持ち帰って検討します」と言って先延ばしにするケースが多いことです。
僕は大抵の作業は、その場で終わらせるようにしています。
小さくても何かひとつのことが終わると、もうその仕事のことは頭から消え、次の仕事に気持ちを切り替えることができます。
仕事を「持ち帰る」と、いつまでたっても終わりません。
どうしてもその場で解決できないときでも、「今その場でわかること」「今返事できること」を見つけて少しでも進めておくべきです。
2.日本の企業で研修をしていて思うのは、「検討しすぎる」ということです。
筋道を立てて考えることはたしかに大事です。
でも、その場の「直感」にも、実は、大きな意味があります。
「直感」はただの思いつきではありません。
今までのあなたの経験の積み重ねからもたらされるものです。
あらゆることを「検討」してから何かを始めるのではなく、まず「直感」に従ってみる。
論理的に考えた結論が「直感」に反するときは、「直感」を信じてみる。
そのほうが、いい結果が得られることも多いはずです。
新しいアイデアは、様々な材料をテーブルに並べながら、「直感」に従ったときのほうが出るものです。
3.日本の企業を見て思うのは、コミュニケーションツールがうまく使えていないな、ということです。
直接会ったほうが速いのに、メールで何度もやりとりをしていたり、「現物」がないまま言葉だけで議論するから、イメージが食い違ったりして、頻繁にやり直しが発生していたり…。
たとえば、文章をプロジェクターに映して、みんなの前で文章をつくってしまえば合意もとりやすいですし、言葉よりも「プロトタイプ」(試作品)を見ながら意見交換したほうが、イメージが湧きやすく、より建設的に物事を進められます。
そして、最後に、みなさんにお伝えしたいのは、「自分の仕事を壊す」ということです。
自分の仕事を自分でしなくて済むようにすることこそ、究極的な「効率化」であり、今後生き残るために必要なことです。
IT(情報技術)やAI(人工知能)に仕事が奪われると恐れる人がいます。
コンピューターとインターネットによる情報革命(第三次)に続く第四次産業革命で、人間がすべき仕事の内容はどんどん変わっていきます。
こんな時代には、「自分の仕事がなくなる」ことを恐れるのではなく、むしろ「どうしたら自分の仕事をITに置き換えられるか」「どうすればもっと自動化・省力化できるか」を考えてほしいのです。
自動車の「自動運転」が典型的ですが、人がやっていた仕事を機械で置き換えた人が勝つ状況になっています。
動画ストリーミングサービスのネットフリックスも、かつては宅配レンタルDVD業者にすぎませんでした。
DVDという物理的なモノをなくし、人手を介した宅配サービスをネットに置き換えたことで、一気に自動化が進みました。
ほかにもメディアを持たない世界最大のメディアカンパニーのフェイスブックや、ベッドを1台も持たない世界最大のホテル事業者・エアビーアンドビーなど、業界を破壊するような企業が続々と登場しています。
空いた時間に自分の車を使ってタクシー業務ができるライドシェアのウーバーも、そのうち自動運転が主流になり、ドライバー自体不要になるかもしれません。
同じことは、みなさん一人ひとりの仕事でも実現できます。
積極的に自分の仕事をITに置き換えていけば、そこであなたは仕事を奪われる側ではなく、その業界の次の形を創造する側に立てるかもしれません。
毎年同じことをしているだけだと、その仕事はきっと機械に取って代わられてしまはずです。
大事なのは、時代の変化にただ流されてしまうのではなく、その変化より速いスピードで動けたら、時代に取り残される心配はなくなる、ということです。
時代の変化より速く動けたら、時代を先読みして、自分が変化を起こしていけるようになるかもしれない。
自分が変化に踊らされるのではなく、自分が変化をコントロールするようなイメージです。
『世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか グーグルの個人・チームで成果を上げる方法』SBクリエイティブ
ピョートル・フェリークス・グジバチ氏は、16年間日本に住み、モルガンスタンレーを経て、グーグルでアジアパシフィック地域の人材開発や教育戦略に携わってきた。
合気道をはじめ、禅にも興味を持ち勉強するような、とても日本びいきの人だ。
より早く動くための方法として、たとえば…。(同書より)
■《メールせず、全員で同時に作業すれば10分の1の時間で終わる》
グーグルのオフィスには、ミーティング用の部屋に必ず大きなスクリーンが設置してある。
議事録をとるのも、資料を作成するのも、誰かがひとりでパソコンに向かって書き込むのではなく、クラウド上のグーグルドキュメントに全員が同時に書き込めば、その場でほとんどできる。
■《日程調整にメールを使わない》
グーグルカレンダーなどのクラウドサービスを利用すれば、できる範囲はグンと広がる。
また、現代ほどビジネスに速さが要求されるときはない。
それはたとえば、「リーン・スタートアップ」という言葉があるが、そのポイントは、スタート時はコストをかけずに、すばやくたちあげること。
そして、必要最小限の機能だけでリリースして、走りながら考えることだ。
失敗やバグがあっても、それは走りながら修正していけばよい、という考え方。
AI時代を乗り切る働き方を身につけたい。 |
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