2016.12.8 |
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ヤンキーの虎 |
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藤野英人氏の心に響く言葉より…
たしかに、日本全体の経済は縮小しています。
人口は減り始めていますし、少子高齢化は急速に進んでいます。
多くの企業は活路を求めて海外に進出し、国内に留まる企業も生き残りに必死です。
そして、このような傾向は、都市部より地方のほうがはるかに強いでしょう。
都市部はまだ人口も多く、若者の消費も活発ですが、地方ではシャッター商店街や、かつて賑わっていた百貨店が閉店してしまっているような光景をよく目にします。
私も、はじめ地方に対して、そのような暗くて後ろ向きなイメージを持っていました。
ところが、実際に全国各地を回りますと、地方の暗いイメージとは正反対の人たちがたくさんいることに気付いたのです。
例えば、地方に根を張ったビジネスで大きく儲けている人。
地方で多くの事業を積極的に起こす人。
地方経済は確かにシュリンクしているのに、成功している人たちがたくさんいることを知ったのです。
地方の成功者に共通するのは、「リスクテイカー」だということが分かってきました。
縮小する地方の中でリスクをとるなんて、馬鹿げていると思われるでしょう。
しかし、彼らは、逆に考えています。
地方だからこそ、リスクをとれば勝てる。
守りに入るのではなく、攻めの姿勢で事業を拡げていけば儲かると思っているのです。
実際、そのやり方で、彼らは成功を収めています。
私は、このように地方で貪欲にビジネスを広げている経営者たちを「ヤンキーの虎」と名付けました。
なぜ「虎」なのかと言いますと、ビジネスに関して言えば、彼らの多くが、まさに「虎」のように自分から積極的に動いてリスクをとる肉食系だからです。
私は、ヤンキーの虎のようなリスクテイカーが、地方経済を立て直す一つの大きな可能性になるのではないかと考えています。
彼らは、事業を拡大するために積極的にお金を借りてガンガン儲け、地域の自治体に多くの税金を納めています。
それゆえ、すでに地方経済を回す重要な存在になりつつあるからです。
その傾向は、今後ますます加速しますし、彼らの存在感は一層強まっていくと思います。
「ヤンキーの虎」とは、ひと言で言いますと、次のような人や企業のことです。
「地方を本拠地にしていて、地方でミニコングロマリット(様々な業種・業務に参入してる企業体)化している、地方土着の企業。あるいは起業家」
彼らが最も好むのは、「シンプルで、でっかく儲けられそうなもの」。
それほど複雑なビジネスモデルではありません。
とにかく儲けられそうだと思ったら、すぐに始める瞬発力と柔軟さを持っているのです。
ですから、ヤンキーの虎たちは、驚くほど様々なビジネスを展開しています。
例えば、パチンコや、ウェディングビジネス、携帯電話のショップ。
保有している裏山を改造してサバイバルゲームフィールドを作って集客する経営者もいました。
事業に一貫性はありませんが、多角的に儲けています。
そこで働いているのがマイルドヤンキーであり、彼らを束ねているのがヤンキーの虎です。
『ヤンキーの虎』東洋経済新報社
博報堂の原田曜平氏のマイルドヤンキー論というのがある。
「マイルドヤンキーとは…
■生まれ育った地元が大好きで、東京に出てくることは考えていない。
■どちらかというと低学歴の人が多い。
■成長意欲や出世欲は強くない。非常に保守的。
■小中高時代の友人たちが大好きで、繋がりを大事にする。
■遠出はせず、生活も遊びも地元で済ませる。
■地元にある大型ショッピングモールで過ごすことが多い。
■結婚や出産は割と早い。
■実家に近い場所に住むか、親と同居しているため、比較的ゆとりのある生活をしている。
■共働きしているケースが多く、世帯収入は低くない。
■インターネットやスマホをあまり活用していないため、ITへの関心やスキルは低い。Facebookはやらず、LINEを活用。
■喫煙率、飲酒率が高い。
■車社会の地方都市や郊外に住んでいるため、自動車が大好き」(同書より)
今という時代は、インターネットやIOT、ロボットなどのことばかりが大きく取り上げられる。
大きな変化により、あと何年かすると、今ある職業や仕事の半分近くがなくなってしまうとも言われる。
しかし、地方には最先端の技術に関わっていなくても、まだまだ伸びている企業がある。
視点を変えれば、まだまだ大きく成長できる分野があるのだ。
「打つ手は無限」という言葉がある。
未来を明るく捉(とら)えたい。 |
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