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2016.11.12

威張る男は

二見道夫氏の心に響く言葉より…

ギリシャ神話に出てくる刑罰の神ネメシスが、 次のような人間は許せない、人間として最も卑しむべきであり、 厳しい罰を与えなければならない、として“七つの大罪” を挙げている。

一、自慢ばかりして高慢なこと(威張った態度になるから)

二、ケチなこと(ボランティア精神に欠けているから)

三、すぐ怒る、すぐカッとなること(精神作用が単純すぎるから)

四、他人を妬むこと(自分のいい加減さを棚に上げ、 成功者の足を引っ張るから)

五、大食であること(自己管理のできない人間は、 いずれ傍迷惑になるから)

六、贅沢をすること( 自分の稼ぎに不釣り合いなほど見栄を張るから)

七、怠け者であること( 楽をして儲かる話はないかとばかり考えているから)


かっこ内は私の解説だが、こうして七つの大罪を見渡してみると、 これらは私たち人間の性格や考え方、 あるいは常識などと大きく関わっていることに気づく。

ネメシスならずとも、罰を与えるにふさわしい七つの大罪かと思う。

たとえば自慢・高慢について触れてみよう。

Sさんはよく私をなじみのレストランに案内してくれる。しかしそのレストランでの従業員に対するSさんの態度が、私など赤面するくらい横柄なのである。

要するに自慢高慢型なのである。

従業員たちは、はいはいと言ってサービス提供に努めているので本人は気づいていないが、ある日のこと、まったく別の人とそのレストランに出かけることになった。

この人もこの店の常連だ。

従業員とも懇意である。

Sさんと従業員との関係とはまるで雰囲気が異なって本当に親しい、それでいてお互いに敬意を抱いている感じであった。

私のことを、これこれの人だからよろしく……とこの知人が紹介したら、「お顔だけは存じ上げております」というチーフ(その日に知った)の返事である。

その夜遅く、店の外で一杯やったときのこと。

「ここだけのお話ですが、店の者が嫌がるんですよ。頭ごなしでしょう、あの方は……」とSさんのことをいうのである。

従業員たちは、Sさんの高慢な態度を日頃から快く思っていなかった。

では彼の高慢さはどこから来たかというと、「会社が有名大企業だから」なのである。

彼が「私はどこどこに勤めています」と言うと、必ず「ああ、あの有名な……」との反応が返ってくる。

それで会社と自分の格とを混同しているのである。

もちろんその会社に勤めている人がみんなSさんのようなわけではない。

彼個人の威張りたがる性格が主因なのである。

『一日一話、寝る前に「読むクスリ」―今日より、もっと賢い生き方をする99のヒント (知的生きかた文庫)』


「威張る男は、要するにまだ一流でないということです」 (オードリー・ヘプバーン)

威張る男も、ケチな男も、すぐ怒る男も、足を引っ張る男も、みんな、一流ではない。

人から好かれないし、モテない。

一流の大人は、謙虚で、暴言も吐かなければ、汚い言葉は使わない。

つまり、品(ひん)があるのだ。

品のある大人でありたい。



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