2016.11.11 |
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幼いときから勇気を養う |
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小笠原敬承斎氏の心に響く言葉より…
江戸時代に武士の心得について書かれた『葉隠』にも、 責任感ある子どもに育てるための教えが書かれている。
「幼いときから勇気を養う。
仮にもおどしたり、だましたりしてはいけない。
強く叱りつけると引っ込み思案になってしまう」
こうしてあらためて読んでみると、 作法を身に着けさせる大前提として、「気骨の精神」 を育てることや、人と積極的に接する力を持たせ、 責任感を身につけさせることに重きがおかれていたことがわかる。
この考え方は十分、現代でも活用できるものだ。
美しい所作を身につけている、 あるいは正しいことば遣いで話ができるとしても、 強い精神力がなければ他者を慮(おもんぱか) る人になれるはずがない。
相手のこころに思いを届けられる人には、自己に偏(かたよ) ることのない精神が備わっていることが必要なのだ。
躾が身についていて、自然な身のこなしができる人は、 こころが素直である。
なぜなら、周囲からたくさんの愛情を受けているから、 こころが曲がっていないのだ。
ここで誤解してはならないのは、「甘やかすこと」と「 愛情を与える」ことは異なる、という点だ。
愛情があるからこそ、助け舟を出さず、子どもに責任を持たせ、 考えさせる。
辛いことも経験させる。
昔と比べて、 親が子どもに関わることが多い現代においては難しいことだが、 状況によって、このような態度を貫く義務が親にはある。
「可愛い子には旅をさせよ」というが、躾とは愛情をもとに、 強いこころを養いながら、 他者を慮る優しさを育むことなのである。
『武家の躾(しつけ) 子どもの礼儀作法 (光文社新書)』
「勇気は常に勝利をもたらし 恐怖は常に敗北を招く」
と中村天風師は言う。
天風師は、人がなぜ、怖れを持ったり、悲観したりするのかというと、それは「勇気が足りないから」だ、という。
なぜなら、心を積極的に保つには、勇気が必要だから。
現代人に欠けているものは、この「勇気」。
勇気とは…
失敗するかもしれないという恐怖に立ち向かう心。
困難なことや辛(つら)いことから逃げない心。
覚悟を決めること。
つまり、肚をつくるとか、気骨を持つことができるかどうか。
それは、「卑怯(ひきょう)な振舞(ふるまい)をしてはいけない」、「弱い者いじめをしてはいけない」という武士道の基本となるものだ。
勇気を忘れない人でありたい。 |
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