2016.10.15 |
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話し上手は聞き上手 |
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堀紘一氏の心に響く言葉より…
ありがたいことに「堀さんは話し上手ですね」と褒められることがよくある。
私はニコニコしながらも、「だって私はあなたより人の話をよく聞きますからね」と内心では思っている。
往々にして褒めてくれる人は、自分の話し方、伝え方にコンプレックスを抱いている。
そして私の経験では、伝え方が苦手でコンプレックスを持っているタイプほど、人の話をよく聞かない傾向が多い。
そして、その事実に本人は気づいていない。
一時期、よくテレビに出演していた影響だろう。
私はよくしゃべる男だと思われているようだ。
ところが、私が常時心がけているのは、話すことの前に、よく人の話を聞くことである。
話し上手が聞き上手なのは言(げん)を俟(ま)たない。
話すときは、相手が何に関心を持っているのか、あるいは何を知りたがっているのかを踏まえなくてはならない。
だが興味、関心は、その人の顔や笑いを眺めるだけでは推し量れない。
興味と感心のありかを探るには、相手の話をひたすら聞く他ないのである。
医師は問診をして熱を計り、脈をとらないと、患者の顔色を見ただけでは処方箋を書けない。
それと同じことだ。
相手にしゃべらせれば、しゃべらせるほど、相手の興味と感心の範囲と深さがどのレベルかがわかってくる。
コンサルティングでもクライアントの話をじっくり聞いてから、どこで勘違いや誤解をしているか、トラブルの源はどこかを探り出す。
話しが上手か下手かをテクニックの差として捉えるのは、偏った見方である。
物事はそんなに単純ではない。
小手先の話術を駆使したとしても、あるレベル以上には向上しない。
伝え方の良し悪しを決定的に左右するのは、話し手の教養の深さである。
話し上手になるには結局、教養の蓄積が求められる。
その教養を得るのが学び。
学びにおいて、私はことあるごとに読書の重要性を強調している。
それに加えて人の話を聞くことも、教養を養う得難いインプットとなる。
『心を動かす話し方 (SB新書)』
「人と会うときには、自分が話をするのではなく、相手がどんな世界に生きて、どういうことをやってきたかを聞くと、どんどん情報が入ってくるでしょう」(小林正観)
人と会うとき、自分ばかりしゃべっていると、情報が全然入ってこない。
話せば話すほど、自分の引き出しはどんどん空になっていくばかりだ。
話していて面白い人は、情報の引き出しが豊富だ。
聞いていてワクワクするようなことを話してくれる。
深い教養があるからだ。
教養を深める方法は、読書と人の話を聞くこと。
話し上手は聞き上手。 |
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