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2016.9.22

包む文化

外山滋比古氏の心に響く言葉より…

こどもに勉強を教えていたFさんが、外国人に日本語を教えることを始めた。

なれないこともあって、まごつくことが多かったが、いちばんびっくりしたのは月謝である。

日本のこどもは月末になると、封筒などに入れたお金をもってくる。

ところが外国人は、むき出しの金を差し出す。

はじめは、手が出なかった、とFさんはいう。

それで月謝袋をつくり、それに入れてもってくるようにした。

それでも、ハダカの金をもってくる外国人がなくならない、となげいていた。

日本人はものを買うとき、乗物の切符を買うときなど、機械的な支払以外、むき出しのカネを出すことはない。

カネは包むものと決めている。

見舞いなどで現金を手渡すことなど、いくら非常識だって、しない。

かならず、包み金にする。

結婚祝いはかつては品ものを贈るのがならわしだったが、同じものがダブって貰った人が困ることから、現金を渡すことが多くなった。

いくら乱暴な人でも、ハダカの金を出すことはない。

香典は昔から金ときまっていたが、きれいな新券の紙幣では、いかにも、用意して待っていたかのようでおかしい。

わざと折目をつけ、手許(てもと)にあったのをとりあえずもってきたように装う。

そして、包みの袋にはカネをかける。

品ものを贈るにしてもムキ出しは禁物である。

いくら親しくても、ビニール袋に入れたりんごを贈るのは、常識的ではない。

わけを話し、失礼を詫(わ)びる。

できれば、化粧箱に入れる。

そうすると、ずっと上等な贈りもののように見える。

むき出しがはばかられるのは、カネや品ものだけではない。

ことばも、ナマでは差し支(つか)えがあるから、手紙にする、ということがある。

顔をつき合わせているときには言いにくいことが、手紙なら書きやすい。

心やさしい、のである。

相手に強い打撃を与えそうなことは、なるべく、ゆっくり出す。

頭からノー、とやるのは、いかにも気の毒である。

まるで無茶な話でも、のっけに、“反対です”などとするのは大人気ない。

「さようですな。そういう考え方も可能でしょう。…」

といかにも、半分承知したようなことを言うが、決して、イエスではない。

“しかし、ながら”というようなことばをはさんで、すこしずつ、賛成できないことをはっきりさせる。

最後は、「どうも賛成いたしかねます」というようなことになる。


『本物のおとな論 人生を豊かにする作法』海竜社


日本の「包む文化」は、奥床(おくゆか)しい。

奥床しいとは、上品で、慎(つつし)み深く、深い心遣いが感じられること。

本来は、その奥(先)に、行かし(心ひかれる)という意味。

包む文化は、ときとして、過剰包装とか、資源の無駄遣いとか言われることもあるが、お互いの気持ちを尊重するとても上品な大人の行為。

子どもや赤ちゃんはハダカで飛び回っていても何も言われないが、大人はそうはいかないのと一緒だ。

日本人はイエス、ノーをはっきり言わない、と今まで散々こき下ろされてきたが、実は相手を思いやったり、傷つけないための、奥床しい日本の伝統文化なのだ。

包む文化を今一度見直したい。



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