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2016.9.8

多様性を認める


曹洞宗徳雄山健功寺住職、桝野俊明氏の心に響く言葉より…

私は「白黒をつけない、グレーゾーン」を大切にする生き方をおすすめしたい、と思っています。

仏教の教えの根幹にあるのが「中道」という考え方です。

白、あるいは黒という、極端な一方に偏らない姿勢でいなさい、というのがお釈迦様が説かれた中道ですが、現代流に言い換えると、自分を主張して相手を組み伏せるのではなく、お互いが成り立つような着地点を見つけなさい、ということになると思います。

「自分」をあくまで押し通せば、「相手」を否定することになる。

そうではなくて、自分の顔も立ち、相手の顔も立つような道を探っていこう、ということですね。

「なんだ、物事を曖昧(あいまい)にしろってこと?」

そんな反論が出そうですが、「曖昧さ」というのは、じつは賢く生きる知恵なのです。

物事にはっきり白か、黒かをつけるのではなく、曖昧にするということは、「多様性」を認めるということです。

多様性とは、豊かさと同義です。

人はそれぞれ、さまざまな考え方や、いろいろな価値観を持っています。

自分の考え方、価値観だけが正しくて、それ以外は間違っている、という生き方をしたら、必ず軋轢(あつれき)が生まれます。

そして、そこに苦しみが生じる。

これは、「自分のいっていることが正しい」「あの人のいっていることは間違っている」と二者択一で物事をとらえることをやめなさい、という意味。

どちらが善か悪か、白か黒か、得か損か…というこだわりを忘れなさい、ということです。

自分とは違うが、相手も受け入れていこう、というのが多様性を認める、ということです。

そのほうがずっとのびやかに、心豊かに穏やかに生きられる、とは思いませんか?

ビジネスの世界でも「この条件は一歩も譲れない」という姿勢で臨んだら、まとまる話しもまとまらなくなります。

相手との関係もギスギスしたものにならざるを得ないでしょう。

その場はそれで押し切っても、“煮え湯”を飲まされた相手はもう二度とこちらとビジネスをしたいとは考えません。

やはり、お互いに譲るべきは譲って、どちらも受け入れられる「落としどころ」を見つけるのが、ビジネススキルでもあり、ビジネスセンスでもあると思うのです。

そんな日本人的な手法はグローバル化がどんどん加速する中では通用しない、という意見もあるでしょう。

しかし、私は、日本人流に立ち戻るところにこそ、ビジネスチャンスはあると思っています。

なにも不得手なグローバル流で勝負することはない。

得手を全面に押し出していけばいいのです。

禅に「不戯論(ふけろん)」という言葉があります。

これは、自分にとっても相手にとっても利益のない議論をしてはいけない、ということ。

お互いに「自分が、自分が」と、相手を忖度(そんたく)せず話し合っていると、結局どとらも損をするのです。

考えてみれば、最近よく言われる「Win-Win」とは、敗者をつくらないということ。

まさしく日本人流ではありませんか?

『競争からちょっと離れると、人生はうまくいく 三笠書房 電子書籍』三笠書房


「大人になるということは、曖昧さを受け入れる能力を持つということである」(フロイト・精神分析学者)

白か黒かで、決着をつけなければ気が済まない人は子ども。

相手を屈服させるまで議論して勝ったとしても、遺恨(いこん)が残るだけ。

昨今よく言われる「多様性」は、ダイバーシティというが、企業や組織において、年齢、男女、文化、宗教や価値観等々を問わず「多様な人材を活かす」という意味で使われている。

女性の社会進出のような意味で使われることが多いが、本来は、様々な価値観を受け入れるということ。

大人になるということは、多様性を受け入れる能力があるということ。

白黒をつけない生き方は魅力的だ。


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