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2016.8.27

人間がすごいのは弱いから


西田文郎氏の心に響く言葉より…

人は自分にないものを持っている人を尊敬します。

他人を敬うこと自体は素晴らしいことです。

ところが、自分が持っていないものだけに意識を向けていると、「あれもない、これもない」とマイナスの錯覚を起こしてしまいます。

そうした考えから脱するには、「有無・無有の思考法」が役に立ちます。

つまり、「相手にあって、自分にない」という思考を逆転して、「相手になくて、自分にある」ことを考えてみるのです。

私は企業の社員教育にいくと、物事を逆から見るという訓練をさせます。

たとえば、支店に勤めている人は、本店に対してコンプレックスを抱いている人が多い。

どうせ、支店では大したことができないと思っている傾向にあります。

そういう場合には、「本店にあって支店にないものは何ですか」と一方思考で考えさせると、「やっぱり本店はすごい」と思って勝てなくなってしまう。

ところが、逆から見てもらうと「支店にはあれもある、これもある」とどんどんアイデアが出てくるのです。

人間がすごいのは弱いからです。

象やライオンより強いからではありません。

人間は弱いからこそ、自分にあって相手にないものを常に脳に問いかけてきた。

だからこそ、人類はここまで発展してきました。

そもそも、世の中に絶対ということはありません。

いままでこうだと決めつけていたことも、逆の立場になってみると、違った側面が見えてきます。

この逆からの発想が、いつの間にか自分が絶対と決めつけている「正しさ」に拘泥(こうでい)していることに気づくための、もっとも有効な方法です。

一つひとつ逆から見る癖をつけておくと、自分と反対意見を持った人がいても「そういう考え方もあるよね」と受け入れられるようになります。

そうすると、世の中から喧嘩や争い事がなくなるはずです。

自分だけが正しいと思ったら、破滅が始まります。

自分の「正しい」をやめる勇気を持ちましょう。

それが悪い錯覚を外すためのもっとも重要なポイントです。

そして、それが進歩や進化につながっていくのです。

『錯覚の法則~成功者は脳をあっさりその気にさせる~』大和書房


我々は錯覚や思い込みの達人だ。

一度こうと思ったら、その考えからなかなか抜け出せない。

たとえば、業界一位の会社には到底追いつけないし勝てないとか、スポーツでいうなら○○秒の壁は破れないとか優勝は絶対無理とか。

「打つ手は無限」という滝口長太郎さんの詩がある。

【打つ手は無限】

すばらしい名画よりも

とてもすてきな宝石よりも

もっともっと大切なものを私は持っている。

どんな時でも

どんな苦しい場合でも

愚痴を言わない。

参ったと泣き言を言わない。

何か方法はないだろうか

何か方法はあるはずだ

周囲を見回してみよう。

いろんな角度から眺めてみよう。

人の知恵も借りてみよう。

必ず何とかなるものである。

なぜなら打つ手は常に

無限であるからだ。

「人間がすごいのは弱いから」

どんなに苦境に陥ろうと、あきらめず、くさらず、様々な手をかんがえる。

弱さを自覚し、自分にあるものに光をあて続けたい。


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