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2016.8.12

とんでもないところに行くただひとつの道


明治大学文学部教授、齋藤孝氏の心に響く言葉より…

《小さいことを重ねることが、とんでもないところに行くただひとつの道》(イチロー・プロ野球選手)

「これだけのことをやってきた」という経験以上に、自分を支える自信となるのはやはり「実績」だろう。

経験は自分のものとして自分の内に積み重なるが、世間に評価されるには、実績なくしては無理な話だ。

実績を積み重ねることで、実際、とんでもないところへイチローは行ったわけだが、それは本当に小さいことを積み重ねてきた結果であり、それ以外の方法でとんでもないところへ行くことはできないと言い切っている。

オリックス入団3年目に1軍に定着し、プロ野球史上初のシーズン200本安打という記録を打ち立てるまで、本当にコツコツと努力を積み重ねてきた。

「(1年のうち)365日中、360日は厳しい練習をしています。…(中略)…そんなに練習をしているのだから、必ずプロの野球選手になれると思います」

イチローが小学校6年のときに書いた「夢」という作文である。

小学生の頃から友達と遊ぶ時間も我慢して、学校から帰ったら毎日父親と二人でトレーニングをし、バッティングセンターに通っていた。

中学、高校時代も同様に過ごした。

その膨大な、そして地道な積み重ねというものが、とんでもないところへ行くただひとつの道だったのだと言っているわけだ。

しかしながら、たとえば仕事も、ある程度経験値が積み重なってくると飽きてしまうということがある。

スポーツ選手の反復練習に限らず、歌手なども同じ歌を何千回と歌ったりするわけだが、彼らの「飽きないで継続できる」というのもひとつの才能だろう。

飽きないから、継続すること自体が苦ではなくなってくる。

継続し、積み重ねることで、うまくなる。

うまくなることがさらなる向上心につながる。

その向上心ゆえ、同じことを積み重ねても飽きない。

だが、「飽きない」という才能がなくても、飽きずに継続できる秘訣はある。

落語家の立川志の輔さんが、何回も高座にかけたことのある演目のときは、「今度こそいちばんうまくやってやろう」と思ってやるのだとおっしゃっていた。

そういう心構えであれば、たとえそれが1001回目でも飽きないのだと。

そう考えると、継続というのは、同じことをくり返す反復というよりは、いままでやってきたことの何かを変えようとして微調整をしていくことだとも言える。

そうするなかで小さないい変化があることを楽しみにする。

イチローはまた、「過去の積み重ねがどれだけ大事なものかは、感じています。それがなければ、いまの技術や精神はつくられなかったのですから」とも言っている。

技術や精神が先にあるのではない。

過去の積み重ねがあるから技術があり、いままで積み重ねてきたことの自信が精神力となっていく。

それがあるからこそ、いま自分にある能力をしっかり出せる状態を常に保てる、ということである。

『君の10年後を変える言葉』フォレスト出版


大リーグ16年目にして、マーリンズのイチロー選手が大リーグ通算3000本安打を達成した。

140年の歴史を持つ大リーグで、通算3000本安打までたどり着いたのはイチロー選手を含めて30人しかいないという。

イチロー選手は、日本で7年連続首位打者を獲得したのち、27歳でアメリカに渡った。

参考記録にされてしまったが、日米通算での安打数は4257本を越え、ピート・ローズ氏が記録した大リーグ通算最多安打数を上回った。

「無倦(むけん)」

これは『論語』の子路第十三の一番最初に出てくる言葉。

倦(う)むことなかれというが、途中で投げ出さず、あきらめたりしないこと。

「倦(う)まず弛(たゆ)まず」という言葉と同じだ。

何事も、事にあたるときは、あきてしまったり、気を抜いたりせずに行うことが肝要。

「とんでもないところに行くただひとつの道」とは…。

日々コツコツと、小さいことを重ねたい。


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