2016.7.16 |
|
日本が世界をリードする第4次産業革命 |
|
三橋貴明氏の心に響く言葉より…
人類史上、例を見ない長期デフレーションにより、日本という国家は資本主義の基本を忘れてしまった。
資本主義とは、リスクをとり、企業が、政府が、そして国民が、資本と技術に投資することで成長する経済モデルだ。
将来、豊かになるために資本や技術におカネが投じられて、はじめて経済は成長する。
すなわち、国民が豊かになっていく。
1997年の橋本龍太郎政権以降の緊縮財政で、わが国は資本主義としては「異常状態」であるデフレに陥った。
デフレの国では、国民がモノやサービスの購入を減らす。
結果的に、企業は投資しても儲からない。
儲からない環境下で投資を決断する経営者はいない。
そして、企業が投資を削ると、デフレは深刻化し、国民がますますモノやサービスを買わなくなる。
すると、企業はさらに投資を削り、デフレが深刻化する。
デフレの時期には、ヒトが余る。
ヒトが余剰になると、企業は資本や技術に投資をする必要がなくなる。
理由は、資本や技術への投資は、「人手不足を解消する」ために実施されるからだ。
人手不足を解消するために、資本や技術におカネが投じられると、生産性が向上する。
生産性が高まれば、働き手の実質的な所得が増大し、国民が豊かになっていく。
ところが、デフレの国は人手過剰になり、人間の労働力が「安く」買い叩かれてしまう。
働き手は賃金の切り下げ競争を強いられ、雇用は不安定化し、国民はひたすら貧しくなっていく。
結果的に、国民のあいだにさまざまなルサンチマン(弱者による強者に対する怨恨)が蓄積され、争いごとが増え、社会に閉塞感(へいそくかん)が満ち、文明が荒廃していく。
わが国がこのまま資本や技術への投資をおろそかにし、デフレが継続すると、未来の日本国は間違いなく「発展途上国」化する。
それにもかかわらず、政府までもが相も変わらず財政均衡主義を掲げ、増税や政府支出削減という緊縮財政に邁進(まいしん)している。
このままでは、わが国の「亡国」は免れないと、筆者は確信をもちつつあったのだ。
ところが…。
日本国は、本当に不思議な国だ。
このタイミングで、わが国に、デフレから脱却し、経済成長路線に立ちもどる絶好の機会が訪れようとしているのである。
しかも、理由は「少子高齢化」なのだから、驚かれる読者が少なくないだろう。
厳密には、少子高齢化を主因とする、生産年齢人口対総人口比率の低下である。
総人口に占める生産年齢人口の割合が下がれば、当然の話として、人手過剰は「人手不足」へと転換していかざるをえない。
そして、人手不足を解消するために資本、技術への投資こそが、経済を成長へと導く。
もちろん、わが国に基盤となる技術が存在しなければ、「技術投資による生産性向上で経済成長を!」などとやったところで、絵に描いた餅に終わる。
とはいえ、現実の日本国は、いまだに世界屈指の技術大国なのである。
今後の日本国では、とくに「ヒトが動く」サービス産業において、人手不足が加速していくことになるだろう。
すなわち、人手が足りなくなるサービス産業において、生産性を向上させる「技術」へ投資することで、「儲かる」環境が訪れようとしているのだ。
日本国における、サービス分野の生産性向上を目的とした技術革新は、将来の歴史の教科書において「第4次産業革命」と呼ばれることになるだろう。
第4次産業革命、インダストリー4.0は、ドイツにおいて「製造業」の様相を抜本的に変え、製造コストを大幅に削減することを目的に始まった。
とはいえ、今後のわが国で「サービス産業」の生産性を高める技術的ブレイクスルーや製品の市場投入が続くことで、最終的には、
「第4次産業革命は、ドイツで始まったが、日本で進化し、完成した」
と後世の歴史家たちが記すことになると、筆者は確信しているのである。
技術に投資をすると、儲かる時代がやってきたのだ!
【第4次産業革命: 日本が世界をリードする これから始まる仕事・社会・経済の大激変】徳間書店
「陰極(いんきわ)まれば陽に転じ、陽極(ようきわ)まれば陰に転ず」
という言葉がある。
人は、崖っぷちまで追い詰められたとき、火事場の馬鹿力が出てくる。
つまり、陰極まると、それが陽に転ずる。
現在日本では、様々な分野で人手不足が深刻だ。
しかし、人はとことん困ってくると、それに対して対策を真剣に考えるようになる。
例えば、車の運転手が極端な人手不足となれば、世の中は、自動運転が実用化されるような方向に急速に動く。
つまり、日本にとって不運だと思われていた人手不足が、一転して幸運の種になるということ。
ヨーロッパやアメリカは人手不足は移民で解決する。
日本は、それをロボットやITで解決する。
日本が世界をリードする、第4次産業革命が始まった。 |
|
|