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2016.6.24

孝行を尽くす

伊與田覺氏の心に響く言葉より…

「三者備(さんしゃそな)わる。然(しか)る後能(のちよ)く其(そ)の宗廟(そうびょう)を守る、蓋(けだ)し卿大夫(けいたいふ)の孝(こう)なり」

三者というのは、法服、法言、徳行。

その三つが備わって初めて宗廟を守ることができる。

「宗廟を守る」とは、先祖祀(まつ)りができるということです。

高い地位に就いたのは結構であったけれども、その地位を失うと先祖祀りもできなくなる。

そうすると家が絶えるということになる。

だから、先祖祀りができるというのが「蓋し卿大夫の孝なり」で、卿大夫あるいは大臣としての孝行であろうというのです。

日本もそうですが、中国では特に先祖祀りが非常に重視されています。

それが孝行のひとつの大きな条件になっています。

曾子(そうし)が『論語』の中でこういっております。

「終わりを慎(つつし)み、遠きを追(お)う」

「終わりを慎む」とは、親が亡くなったときに葬儀を丁寧にするということです。

そして「遠きを追う」とは、その先祖の遺徳を偲(しの)んで先祖祀りをするということです。

これが孝行として非常に大切なことだと曾子はいうのです。

生きた親に孝行することはいうまでもなく大切だけれども、同時に「終わりを慎み、遠きを追う」ことを忘れてはいけない、と。

先祖を思うということは自分を大切にすることにもつながります。

今日ここに我々があるのは、先祖のお蔭によってあるのです。

また、それだけに自らも子孫にとってよき先祖となることが大切である。

子孫からよき先祖であったといわれるように、自らを慎んでやっていかなければなりません。

だから、先祖祀りをするということは、同時に自己自身を修めていくことにもつながっていくんですね。

『「孝経」人生をひらく心得』致知出版社


「田中角栄さんが総理大臣になったとき、老いたる母親から『総理大臣を辞めないかんかったらいつでも帰ってこい』と言われたそうだ。

『庇(かば)うてやるから帰ってこい』と。

これが親の姿だ」(同書より)

子どもがいくら一国の総理になったとしても、親が子を思い心配する気持ちは一般庶民と変わらない。

子どもの頃から自分がどれほど親に世話になったか、大事にされたかを忘れている人は、恩を大事にできない人。

恩を忘れた人は、周りの人にも薄情だ。

人はそれをよく見ている。

先祖を大事にし、親への孝行を尽くしたい。



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