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2016.4.24

最後は人

医師、矢作直樹氏の心に響く言葉より…

仮に、自分の命があとわずか、それも一週間と判明したら?

おそらくほとんどの方が、本気でそんな想像をしたことがないでしょうが、そんな想像には意外と利点があります。

本当に大切なものが明確になるからです。

体の自由が少しでもきくなら、大半の人が身辺整理と別れの挨拶を選ぶでしょう。

仮にあなたが病(やまい)で寝たきりとなっていても、周囲が気遣って本人が会いたがっている人を呼ぶと思います。

これは医療現場で繰り返される場面であり、そんな場面に触れるたびに、やっぱり最後は人だなと感じます。

あなたが最期に会いたい、暇乞(いとまご)いをしたいと心から思う人こそ、あなたが本当に大切に思っている人です。

それが身内でないこともあるでしょうが、別に悪いことではないでしょう。

その人に感謝していること、謝罪したいこと、思っていることを伝えればいいのです。

これまでの人生を振り返り、また会いましょう、と告げる貴重な時間です。

どんなお金持ちも、どんな有名人も、どんな幸せな人も、死ぬ時は一人です。

誰も付き添えません。

だからこそ、自分の中で揺れ動く気持ちの整理が不可欠です。

同時に少し現実的な話もすれば、いわゆる「人・物・金」の整理も急務となります。

遺(のこ)された人に迷惑がかからないようにするのは、「発(た)つ鳥」の作法です。

整理は余命を宣言されてから始める作業ではありません。

思い立ったが吉日で、今日から取り掛かるのもいいでしょう。

要は普段から考えておく、つまり「そこに少し意識を向ける」ことが大切なのです。

ある知人は、「余命一週間」のイメージを定期的におこなうそうです。

すると、大切なもの(こと・人)が時に変わることがあるのに驚く、とのことです。

でも、何も驚かなくても、それが私たち人間の本来のあり方なのです。

大切なものが変わっても、大切なものがあるという事実が変わることはありません。

『変わる―――心を整え、人生を楽にする73のコツ』ダイヤモンド社


「浄玻璃の

鏡の前に立つまでは

秘めておきたし

あのことも

このことも」

という、相田みつを氏の詩がある。


人間には死んでから、あの世に持っていけるものが二つだけあるという。

一つは、「人に与えた喜び」。

もう一つは、「人に与えた悲しみ」。

しかし、どんな財産も、豪邸も、社会的地位も、そして自分の体も、あの世には持って行けない。

仏教では、亡くなってあの世に行く前に、誰もが一度は浄玻璃の鏡の前に立つといわれる。

生まれてから死ぬまでの間の、人に与えた喜びと、人に与えた悲しみが、走馬灯のように一瞬にしてその鏡の中に再現される。


人に与えた悲しみが多ければ、身もだえするような苦しさとなり、いてもたってもいられないほどの深い悔悟の念にかられ、針のむしろとなる。

人に与えた喜びが多ければ、無上の喜びがこんこんと湧いて、うれしくて、楽しくて仕方なくなる。

この世において大事なことは、「最後は人」ということに気づくこと。



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