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2016.4.16

群れない生き方


川北義則氏の心に響く言葉より…

肩書にしがみつく引退者たちもみっともないが、若い人たちが有名企業の肩書を求めて、とくに大企業に入ろうとするのも、いまどきはやめておいたほうがいい。

よく「ソニーに入るより、ソニーをつくったほうがカッコいい」といわれているが、まさにそのとおりではないかと思う。

英国のマールバラ公爵家は、ヨーロッパでも有数の家柄だが、初代ジョン・チャーチルは、英国史上屈指の将軍とされている。

彼はすぐれた軍才を発揮し、一代でいまに続く名門貴族を興した。

そのマールバラ公が貴族になったのち、新参者の彼を「きみは誰の子孫なんだ?」とからかった者がいた。

英国は階級社会の国だが、300年前の当時はいまよりもその意識がさらに高かった。

名家の出であることが何よりの肩書であり、成り上がりの彼には、とうてい持ち得ないものだったのだ。

しかし、マールバラ公は毅然(きぜん)と胸を張り、こう言い返したという。

「私は子孫ではない。祖先になるのだ」

いわれた貴族は、きっと自分の器の小ささを思い知ったことだろう。

貴族の話はさておき、とにかく、いつまでも看板や肩書にしがみついているのは、滑稽だし、惨(みじ)めでもある。

とくに定年後は、自分はまったく「素」の一個人であると、しっかり自覚しなければならならい。

米国のノーベル賞作家、アーネスト・ヘミングウェイが絶妙な“訓示”を垂れている。

「いまは“ないもの”について考えるときではない。“いまあるもの”で何ができるかを考えるときである」

看板、肩書を捨てると、いまの自分の“正味の姿”が見えてくる。

その自分に何ができるか、これからどうするかを考えよう。

それが地に足がついた生き方というものだ。

いつまでも「裸の王様」でいるより、身の丈に合った生き方のほうが、ずっと豊かで面白いではないか。

『人生で捨てていいもの いけないもの』大和書房


「高校の時、友達はみんな将来Googleで働きたいって言ってた。けど、私はそこで検索される人になりたいと思ってたの」

レディー・ガガの言葉だ。

「鶏口牛後(けいこうぎゅうご)」

という言葉がある。

鶏口となるも、牛後となるなかれ、という言葉を略したもの。

大きな組織(牛の尻)に入って軽く扱われるより、小さな組織(鶏の口)でもいいからそこで長となり、重んぜられたほうがよいということ。

これは、何も会社や組織の中のことでだけではない。

「独立不羈(ふき)」という束縛を受けないで、自らの考えに従って行動する、という群れない生き方に通じる。

群れない生き方は魅力的だ。


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