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2016.4.3

不便であることを楽しむ


精神科医、斎藤茂太氏の心に響く言葉より…

あるアンケート調査で、おもしろい結果が出ていた。

携帯電話が普及し、インターネットが発達したことによって、職場の同僚や知人、また家族同士でもコミュニケーションの機会は、平均して20パーセントから30パーセント増えた。

ところが人と「面と向かって話をする機会」は、3割強減ったというのである。

世の中が便利になることは、たいへんけっこうなことだが、その便利さに慣れきってしまうとこんなふうにマイナスに作用することもある。

最近の若い人たちは電車の中でも公園のベンチでも、お昼ごはんを食べながらも、歩きながらも、終始ケータイをにらんで、指を動かしている。

友人と連絡を取り合っているのだろうが、これほど頻繁にコミュニケーションをしているのだから、しっかりした人間関係が築けているのだろうと思いきや、「ほんとうの友だちがいない」と訴える人が少なくない。

コミュニケーションは密になったが、人間関係は希薄になったということだ。

考え方、感じ方が異なる人と顔を突き合わせて、意思の疎通をはかるには、ある程度の時間もかかる。

お互いに不愉快な思いもしなければならないときもある。

人間関係というのは、そもそもそんな「便利」なものではない。

いや、見方によっては、人間関係ほど「不便」で面倒くさいものはないと心得ておいたほうがいい。

「会って話をするのは面倒だからメールで済ませよう」というときでも、ときどきは、あえて「会って話す」という基本にもどってほしいものだ。

それは「ひとつ手前の駅で電車を降りる」のと似ている。

健康のために、最寄りの駅のひとつ手前の駅で電車を降りて、わざわざ時間をかけて家まで歩く。

そうやって日頃の運動不足を解消し、足腰を鍛えようというわけだ。

わざわざ「不便なこと」をすることによって「人と信頼関係を築いてゆく力」が鍛えられるのである。

もっと、不便であることを楽しみたいものだ。

不便は、人間関係の元。

「○○なしデー」が多くなるぶん、人と人とは「いい関係」が醸成されてくるように思うのだ。

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セブンイレブンでは、全国に2000人いるOFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー、店舗経営相談員)を隔週で本部に集め、会議をしているという。

コミュニケーションにそれだけのコストを掛ける意味があると考えているからだ。

「直接顔を見て話すと、相手がどれくらい理解しているか、あるいは興味を持って聞いているかなどがわかります。相手が腑に落ちていないなと感じたら、同じ内容のことを伝えるにしても、表現を変えたり、例えを取り入れたりして、相手に伝えることができます」と、鈴木会長は言う。

世の中が便利になればなるほど、逆に不便なことが必要となることがある。

例えば、地方においては車がなければ生活できないが、その反面、歩かない不健康な生活が続く。

つまり、強制的に歩く時間をつくらなければいけない。

コミュニケーションも同じで、通信手段が発達して、便利になればなるほど、直接顔を合わせることが必要となる。

なぜなら、電話やメールでは、相手の表情は見えないし、感情や気持ちも伝わりにくいからだ。

「わざわざ『不便なこと』をすることによって『人と信頼関係を築いてゆく力』が鍛えられる」

ときに、不便であることを楽しめる人でありたい。


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