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2016.3.17

語彙力こそが教養である


明治大学文学部教授、齋藤孝氏の心に響く言葉より…

「言葉は身の文(あや)」ということわざがあります。

話す言葉はその人の人格や品位までも表す、という意味の言葉です。

たしかに、テレビで芸能人やスポーツ選手のインタビューを見ているとき、なんとなく「頭がよさそうな受け答えだな」「意外と子どもっぽいな」「普段のキャラクターと違って思慮深いんだな」と感じることがありますよね。

それではこのとき、あなたはどういうところに着目して「この人は頭がいい」とか「子どもっぽい」、「思慮深い」と判断しているでしょうか。

逆に言えば、どういうふうに話せばポジティブな印象を与えることができるのでしょうか。

私の答えははっきりしています。

それこそが、「語彙(ごい)」なのです。

語彙によって相手に与える印象が変わるのは、芸能人やスポーツ選手だけではありません。

「言葉は身の文」なのは、あなたも同じ。

使う言葉のレパートリーが少なかったり、平易な言葉でしかものを語れなかったりすると、「物足りない人」という印象を持たれます。

反対に、あなたの語彙力が豊かであれば、仕事でもプライベートでも「一目置かれる存在」になれるのです。

いい年になって適切な言葉を適切な場で使える人と、使えない人。

どちらの能力が高そうか、言うまでもありませんからね。

より多くの語彙を身につけることは、手持ちの絵の具が増えるようなものです。

8色の絵の具で描かれた絵画と、200色の絵の具で描かれた絵画。

どちらの絵が色彩豊かで美しいか?

いわずもがな、200色のほうでしょう。

語彙力を身につけることは、いままで8色でしか表現できなかった世界が、200色で表現できるようになるということなのです。

「すごい」「やばい」「なるほど」「たしかに」ばかり使う人は、8色の絵の具しか持っていない人。

一方で、200色の絵の具を使える人は、あまねく表現を駆使して相手を動かせます。

部下にかける言葉も、自己アピールの言葉も、ビジネスでの商談も、プライベートな雑談も、「200色」の彩りをもって表現できるようになる。

当然、それに伴って、あなたが受ける評価も大きく変わっていくでしょう。

「語彙が豊富だと周りから一目置かれる」ということばかりではありません。

いちばん伝えたいのは、「語彙が豊かになれば、見える世界が変わる」ということ。

人生そのものが楽しくなるということです。

思考は、頭のなかで言葉を駆使して行われます。

つまり、何かについてじっくり考えて意見を持つためには、先にたくさんの言葉をインプットすることが必要不可欠です。

英語が苦手な人は、英語で深く思考することはできないでしょう。

それと同じように、乏しい語彙力では、それをとおした狭い世界しか見ることができません。

語彙力があるかどうかは瞬時に判定できます。

判断基準はいたってシンプルです。

それは「複数のことがらをひとつの言葉で表現しようとするか否か」。

語彙が少ない、教養が乏しいと感じる人は、とにかく言葉の選び方が「省エネ」なのです。

ポジティブにもネガティブにも使える「やばい」。

小さいものも愛らしいものもひっくるめた「かわいい」。

感嘆詞にも強調にも使える「まじ」。

本気とも冗談ともつかない「うざい」。

語彙の貧困化が深刻なのは、若者だけではありません。

上司に出すレポートの末尾が「頑張ります」「精進します」だらけの部下。

「なるほど」「たしかに」ばかりの相づち。

SNSに料理の写真をアップしても「おいしい」「感動」としか書けない人。

どんな言葉も「とても〜」で強調する人。

挙句の果てには「言葉にならない」で逃げる人…。

『語彙力こそが教養である (角川新書)』


齋藤孝氏はこう語る。

「日本語の90%を理解するために必要な語彙数は、およそ1万語と言われています。

ところが、諸外国を見てみると、ケタが違う。

英語は日本語の3分の1にも満たない3000語、スペイン語やフランス語にいたっては2000語足らずで、その言語を90%理解できるのです。

つまり、日常のコミュニケーションを円滑に進めたり文章を読んだりするために、私たち日本人はスペイン人の5倍の語彙を持たなくてはならない、ということです」

語彙力豊かな人は、単語の数を知っているというだけでなく、単語を使った熟語、ことわざ、いいまわし、もっと言うなら物の見方などもユニークで豊かだ。

語彙力を増やすには、映画やドラマや演劇を見るとか、落語を聞くというような方法もあるが、最もてっとり早い方法は、活字を読むこと。

本だけでなく、インターネットの記事や新聞や雑誌などの活字媒体。

そして、大事なことはいくら語彙力をふやしても(インプットしても)、それをアウトプットしないと身に付かないということ。

何事も実践で使わなければ、それは「畳の上の水練」でしかなくなる。

語彙力を増やし教養を高めたい。


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