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2016.2.9

当事者意識を持つ


精神科医、和田秀樹氏の心に響く言葉より…

会議やセミナーで突然に発言を求められることがあります。

パーティや集会でスピーチを求められることもあります。

「A君、ちょっときみの意見を聞かせてくれ」とか「Bさん、ひとことお願い」といった要請ですね。

そのとき、しどろもどろになってしまい、あとで「こころの準備」ができていなかったと言い訳する人がいます。

「いきなり指名されるなんて思ってなかったんだ」と本人は不満顔ですが、指名されようがされまいが、その場にいれば感じたこと、考えてたことはあるはずです。

それを話せばいいだけのことですから、「こころの準備」とはちょっと大げさですね。

もちろん、考えがまとまらないとか、あがってしまってことばに詰まるということはあります。

人前で話すのがとにかく苦手という人もいるでしょう。

ただ、「こころの準備」ができていないという言い訳を持ち出す人は、当事者意識をもっていたのかなという疑問が生まれます。

じつはこういうケース、身近によく起こることなのです。

会議でも集会でもそうですが、自分がなぜそこにいるのか、どういう関わりがあるのかをきちんと理解しておくことはとても大事なことです。

部外者や無関係な人間ではないのですから、最低限の義務といってもいいでしょう。

この当事者意識をもたない人がしばしばいます。

「会議なんてどうせ課長が仕切って結論を出すだけだろう」

「集会は意見のある人だけが発言すればいい、自分は関係ない」

そんな気持ちで顔だけ出している人です。

こういう人にかぎって、会議や集会の終わったあとで「つまらない意見ばかりだな」とか「もっと突っ込んだ議論はできないのか」といった不満を漏らします。

あくまで傍観者の立場なのです。

当然、自分の発言を求められてもことばは出てきません。

せいぜい、他人の意見の批判やあげ足取り、そういう人が「急に指名されても」と言い訳したところで、だれも同情してくれません。

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宝塚の舞台では、その日舞台に立つメンバーの中で代役を決めておくシステムがあるという。

基本的には、主役の代役として2番手がその主役のセリフを、2番手のセリフは3番手が覚える。

つまり、1人で2役のセリフを覚えるということ。

主役の代役を引き受ける準備ができている人には、大きなチャンスが巡ってきたということ。

舞台でも、スポーツの場でも、その代役をうまくこなせば、一躍脚光をあびるからだ。

「運がいいなんてありえない。チャンスは周到な準備をした者だけにやってくる」(物理学者・小柴昌俊)

どんな場においても、当事者意識を持って準備を怠らない人でありたい。


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