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2016.1.14

ユーモアと笑いの力


精神科医、斎藤茂太氏の心に響く言葉より…

“ユーモア”はあらゆる外界のストレスから心身を守ってくれる頼もしい盾(たて)である。

こんな瞬間を経験したことはないだろうか。

失恋や受験や仕事の失敗などで落ち込んだときに、思いがけない出来事で思いっきり笑い、笑ったあとで「あれ、さっきまでなんであんなに落ち込んでいたんだろう」と、一瞬、不幸を忘れてしまったことを。

笑ったあとの冷静な頭で考えれば、「あんなに悩むなんてバカバカしい」と思えることも多いものだ。

「笑い」の効用は、落ち込んだ原因をくよくよ何度も考える反芻(はんすう)作用を止められることにある。

起こってしまったことは、もう決して消せないことであり、しかたがないことである。

ところが、几帳面(きちょうめん)で自分に厳しい人ほど、悲しいとか悔しいといったマイナスの感情に拘泥(こうでい)して、何度も反芻することが多い。

ときにはそれが、自己鍛錬となり、人格に磨きをかけるきっかけとなるだろう。

けれども、あまり長い間落ち込んでいると、からだの免疫力が下がり、こっそり忍び寄ってきた病に襲いかかられたとき、太刀打ちできず、心身ともに状態が悪くなる可能性が高くなる。

もしも、自分の意志の力で、つらいことや試練にくるりと背を向けることができないのならば、なにか別の手段を見つけて、悲劇にとりついている自分の心を引っぱりはがしたほうがいい。

それには、面白い小説にでも没頭して、気分を切り替えて笑ってしまうのがいい。

実際、ユーモアと前向きな精神で難病中の難病を治してしまった例もある。

『死のふちからの生還』という本を書いたアメリカの『サンデーレビュー』誌の元編集長ノーマン・カズンズ氏は、激務の中で、不治の病と言われていた強直性脊椎炎という膠原病(こうげんびょう)を発病してしまう。

ところが、病院に入院して闘病するうちに、コメディ映画を見たり、面白い本を読んだりしてよく笑ったあとは、回復不能と思われていたからだの痛みが二時間ほどなくなっていることに気づいた。

そこでカズンズ氏は、自分を快適な環境におくために病院からホテルに移り、そこでユーモアと笑いを目いっぱい生活に取り入れる。

そして膠原病を克服してしまった。

この話には事実の持つ重みがある。

まさに、“笑う門には福来る”なのだ。

ありがたいことに、人間は同時にいくつものことに注意を払えない。

面白い小説を読んだりコメディ映画を見て笑いながら、自分の不幸を泣くことは難しい。

「不幸を忘れることなんてできない」と思うのなら、できるかどうか挑戦する、という気持ちで試してみたいものである。

「あんな悲劇に出合って、もう生きていけない」と思ったとしても、面白いことには笑うことができ、お腹がすいたら何かが食べたくなるといった自分を発見することで、自分の中にしたたかな生命力を見つめ直すことができる。

『いくつになっても「輝いている人」の共通点 (祥伝社黄金文庫)』


中村天風師はこう語っている。

「いつも笑顔でニコニコしている人に病弱の人いますか?

笑顔で悲観している人や、その精神を消極的にしている人いますか?

そんな人は、だんぜんいやしませんよ。

笑いは無常の強壮剤であり、また開運剤なんだぜ。

事実において、ニコニコ笑顔の人のそばにいるのと、むずかしいしかめっつらしている人のそばにいるのと、あなたどっちが気持いい?

笑顔の人のそばにいると、なんとなくチャームされ、多少の悩みや悲しみがあっても忘れちゃうでしょう」(『君に成功を贈る』日本経営合理化協会出版局)

笑顔で暗くなったり、否定的になることはできない。

逆に、怒った顔をして、明るく肯定的になることもできない。

表情と感情は連動しているからだ。

つまり、表情は脳と心と連動しているということ。

だから、面白くなくても、口角を上げ笑ってみると、そのうちなんとなく「楽しい」とか「うれしい」とか「ま、いいか」というような肯定的感情がわいてくる。

ユーモアと笑いは、運を呼ぶ。


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