2015.12.4 |
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楽をすると無能になる |
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植松電機専務、植松努氏の心に響く言葉より…
大学を卒業したあと、ぼくは本格的に飛行機とロケットにかかわります。
はじめて職場を訪ねたとき「このフロアは堀越二郎が働いていたところなんだよ」といわれました。
憧れていたゼロ戦の設計者と同じフロアで仕事ができるなんて、まさにぼくの母さんがいっていたとおり「思うは招く」だと思いました。
ぼくはこの仕事が大好きでした。
夢がかなった!と思いました。
でも、5年半で辞めました。
なぜなら飛行機になんにも興味のない人が、どんどん会社に入ってきたからです。
彼らは新しい仕事の依頼がくるたびに、「やったことがないからできません」「勉強してないからできません」といって断り続けました。
ぼくが「なんで『できない』ってばっかりいうの?」と聞いてみたら、自信たっぷりに「『自分には無理です』っていっておけば、楽ができるから」というんです。
「おんなじ給料をもらうんだったら、新しい仕事なんてやらない方が得じゃん」というんです。
「だからできないふりをしなよ」と教わりました。
でもぼくはせっかくのチャンスだから、いい飛行機を作りたいのです。
だからがんばります。
でもがんばればがんばるほど、どんどん空回りをして、まわりから浮いていきます。
「よくやるわ」とさんざんかげ口をたたかれました。
ぼくはやがていい仕事ができなくなってきて、その会社を辞めることになってしまいました。
そのうち、その部門はなくなりました。
そして楽をしていた人たちはみんな仕事を失いました。
やっぱり楽はしない方がいいと思いました。
楽をすると“無能”になるからです。
考えてみてください。
能力というものは、失敗するか成功するかの「経験」によって身につきます。
「楽をする」ということは、つまり「その経験を避ける」ということです。
だからずっと楽をしていたら、自動的に無能になって、誰からも見向きもされなくなります。
もったいないです。
人生の価値は、「誰にほめられるか? いくらもらえるか?」では決まりません。
「自分の給料はこれくらいだから、これくらい手を抜いておこう」なんて考えはじめたらその通りの、額面通りの人間になってしまいます。
そんなものは人生の価値じゃないです。
人生の価値は、人生の時間を使って得た自分自身の経験で決まります。
人生なんて一回しかない。
それなのに最短コースをえらんだら、一瞬で終わっちゃうじゃないですか。
いっぱい寄り道した方が得だと思いませんか。
いっぱい人に出会ったらいいです。
いっぱいいろんなことやったらいいです。
それこそが棺桶に入る瞬間の、自分の価値になります。
一生懸命いろんな経験をしてほしいです。
もしなにかに迷っちゃったときには、「自分は楽を選んでいないかどうか」だけを気をつければいい。
そうしたらきっと間違えないで、今より前に進むことができると思います。
『好奇心を“天職"に変える空想教室』サンクチュアリ出版
「楽すれば楽が邪魔して楽ならず 楽せぬ楽がはるか楽々」(田中真澄)
という、富山の薬売りの『七楽の教え』がある。
300年以上続く富山の薬売りに代々伝わる言葉だそうだ。
楽をしようとすれば、その楽したことが邪魔となって、逆に「苦」となってしまう。
楽をせずに、大変な道、損の道を選んだほうが、最終的には必ず自分にとって幸せな道となる。
人は、一時的な気持ちのよさ、「快」を求めて、楽な道、最短の道、効率のいい道を選んでしまいがちだ。
しかし、後になって考えてみると、損な道、困難な道、効率の悪い道を歩んだときの方が、はるかに自分の血肉になっていたことに気づく。
「楽をすると無能になる」
あえて、楽ではない道を選ぶ人でありたい。 |
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