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2015.12.3

人に何かを頼むときには


心理学ジャーナリスト、佐々木正悟氏の心に響く言葉より…

コピー機の前に列ができているとき、頼み方次第で応諾率が変わる、という実験結果があります。

「すみません。急いでいるので5枚だけ、先にコピーしてもいいですか?」

このときの応諾率は94%。

「すみません。5枚だけ、先にコピーしてもいいですか?」

このときの応諾率は60%。

つまり、ちゃんと理由を言ったほうが、人は頼み事を受け入れやすいわけです。

これは当然といえば当然ですが、実際は「ので」をつければ、理由が理由になっていなくてもこの効果が成立します。

「すみません。コピーしなければならないので、5枚だけ、先にコピーしてもいいですか?」

このときの応諾率は93%。

よく考えれば「コピーしなければならない」のは並んでいる人の全員が同じなので、これは理由を言っていないのと同じことなのですが、本当の理由を言った場合と結果がほぼ同じになっています。

ただし、大きな頼み事では事情が変わります。

コピー5枚程度だと、深く考えずに応諾しているわけです。

これがコピー20枚となるとちょっと違ってきます。

「すみません。急いでいるので20枚だけ、先にコピーしてもいいですか?」

このときの応諾率は42%。

「すみません。コピーしなければならないので、20枚だけ、先にコピーしてもいいですか?」

このときの応諾率は24%。

コピー20枚となると、理由になっていない理由を言っても、理由を言わないのと変わりません。

大きな頼み事を聞き入れるとなると、人はもう少し慎重に考えるということです。

もしあなたが上司として、部下に何かを頼むのであれば、とにかく理由は言うべきです。

そして、相手がすんなり引き受けてくれそうなときには、理由になっていなくてもかまわないから「〜ので」という“前置き”をつけるべきです。

いずれにせよ相手は引き受けざるを得ない場合でも、そのほうが心理的に受け入れやすいでしょう。

しかし、特に厄介な仕事、急な仕事を引き受けてもらうには、やはりきちんとした理由を告げるべきです。

この場合には、理由を言わなかったり、理由になっていない理由を言ったりするよりも、はるかに相手にとっての「受け入れやすさ」が違ってくるからです。

『一流の人は仕事中に眠くなったらどうするのか?』サンマーク出版


会社においても、友だちや家族においても、何か物を頼むときは、そのことがいかに大事なことなのかという、理由を説明した方がいい。

理由をしっかり説明すれば、相手の価値を認め、尊重していることになるからだ。

反対に、まったく説明もなしに、何かを頼んだら、上から目線の命令のようになってしまい、相手を馬鹿にしていることになる。

「お前には説明する必要はない。ただ黙ってやればいいんだ」というように。

いわゆるデキルと言われている人や、ひとりよがりの職人タイプの人たちに多い。

どんな小さなことであろうと、いつもとは違ったことを頼むなら、ちゃんと理由を説明した方がいい。

それが面倒で厄介なことなら、なおさらだ。

人に何かを頼むときには、その理由を言うことはとても大切なこと。


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