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2015.11.15

帝王学とは


工藤美代子氏の心に響く言葉より…

『終戦直後、昭和天皇は行幸の折に罵声を浴びせられても帽子を脱いで国民に応えられた。

被災者を慰問する天皇の姿は、国民に生きる勇気を与えずにはおかなかった。

それが帝王学というものだ』(笹川良一)

笹川は日本の皇室が諸外国の王家などと比べて滅亡しなかったのは、「帝王学を学び、実践されてきたからだ」と考える。

「帝王学は天皇、皇帝、国王だけのものだというのは間違いだ」とも述べている。

関東大震災の折、大正天皇の后、のちの貞明(ていめい)皇后は帝都の被災地一帯を慰問して回った。

被災者はまだ真夏着で着の身着のままだと知って、自らも普段着の夏服のままで慰問を続けた。

9月末から12月末まで同じ夏服で通した、との記録がある。

帝王学は男子だけのものではなかったのだ。

明治天皇の后、昭憲(しょうけん)皇太后にも同じような逸話はあるし、昭和天皇しかり、今上天皇と美智子皇后におけるさらに直近の例を国民はよく見知っている。

美智子皇后が膝を折り、ビニールシートの上で幾度となく被災者の手を両手でくるまれた姿は、日本人の胸を強く打った。

また、三笠宮家の長男・寛仁(ともひと)殿下は東松山市の航空自衛隊基地で、救援にあたった隊員たちを激励した。

皇族による自衛隊激励は戦後の前例からすれば異例だったろうが、勇気ある帝王学の実践だ。

こうした連綿として続いてきた皇族、とりわけ皇后の役割は大きい。

『くじけてなるものか 笹川良一が現代に放つ警句80 (幻冬舎文庫)』


笹川良一には常にダークなイメージがつきまとった。

金をいくら持っているかわからない、など黒い噂も飛び交った。

しかし、良一が死んだとき、息子、陽平氏に残されたのは、なんと80億の借金だけだったという。

帝王学とは、なにも皇帝や良家の御曹司だけの話ではない。

国や会社だけでなく、家庭においても、上にたつリーダーとして心得なければならない学問だ。

「自らの甘えを捨て、我慢できること」、「危急のとき、まわりを先にし、自分のことを後回しにできること」、「ピンチにおちいったとき、勇気を見せること」、「難事に出会ったときほど、にっこり笑って周りを鼓舞できること」。

帝王学を身に付けた人には限りない魅力がある。


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