2015.10.17 |
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自分をあと回しにできる人 |
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心理カウンセラー、植西聡氏の心に響く言葉より…
ドイツの劇作家であり詩人であったシラー(18〜19世紀)は、
「勇気ある者は、自分をもっともあと回しにすることができる」と述べました。
ある大手企業の経営が行き詰り、このままでは倒産という危機的な状況に追い込まれました。
もし倒産してしまったら、社員は働いた分の給料をもらえません。
取引先や顧客から何か責任を押しつけられて、社員自身が困ることになるかもしれません。
そんなことを心配して、社員は次々とその会社を辞めていきました。
経営幹部も我先にと会社を去っていきました。
そんな中で、一人だけ会社に残った幹部がいました。
その会社は結局倒産してしまったのですが、その幹部は無給で残務処理に当たり、また行き場を失った社員の再就職先を世話してまわりました。
この人などは、シラーがいう「勇気ある人」といえます。
危機的状況になった時には、自分の人生の安全を保障するためにそこから早く逃げ出す、という生き方もあるのかもしれません。
しかし、自分一人だけは最後まで残り、他人の人生の安全を保障してあがるために力を尽くす、という生き方もあります。
そういう生き方を選べば、もちろん自分自身が損をし、困難をこうむることになります。
しかし、それを覚悟のうえで、他人のために尽くす、という生き方もあるのです。
結局は、そういう生き方をする人があとあと、「勇気ある人」と大勢の人から尊敬を集められると思います。
『覚悟のコツ (リンダパブリッシャーズの本)』
「ノブレス・オブリージュ」というフランスの規範がある。
社会的地位の高い者は、それに見合った義務を負う、という意味だが、危険を承知で、損の道を選ぶこと。
これは、地位の高い低いによらず、人として大事な資質。
危機的状況になった時にこそ、人間の本性が表れる。
自分をあと回しにできる人もいれば、反対に、われ先に逃げだしたり、他人のせいにしたり、言い訳したり、自分のことしか考えない人もいる。
「勇気ある者は、自分をもっともあと回しにすることができる」
勇気ある人を目指したい。 |
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