2015.9.30 |
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お人よしは損ではない |
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筑波大学名誉教授、村上和雄氏の心に響く言葉より…
お人よしの代表と言えば、良寛さんでしょう。
江戸後期に、名主の家に生まれた彼は、後に出家して諸国を行脚(あんぎゃ)し、歌人としても有名です。
帰郷してからは、子どもたちや農民たちと超俗人的な生活を楽しみました。
それだけに逸話も多いのです。
たとえば、子どもたちとかくれんぼをしていたときのことでした。
夕方になって、親に呼ばれた子どもたちがみんな帰ってしまったあと、暗くなるまで、正直に隠れていたという話が残っています。
というわけで、子どもたちや村人にからかわれても、いつもニコニコしていたというのが、良寛さんの人物像です。
船頭にいたずらを仕掛けられたときもそうでした。
舟で川を渡っているとき、船頭がわざと舟を揺らし、良寛さんを落としてしまったのです。
ニコニコして怒ることがない良寛さんが怒るところを見たいと、船頭は思ったのでした。
ところが、良寛さんは怒りませんでした。
それどころか、おぼれかけたときに助けた船頭に向かって、「助けてくれてありがとう」とお礼を言う始末でした。
これではお人よしを通り越して「バカ」なのではないかと思われて当然です。
しかし、「大愚(たいぐ)」は「大賢」に通じるとも言います。
ほんとうに賢い人は愚かな人間に見えることがあるのです。
一般的に、「お人よし」と、人から呆(あき)れた目で見られるような人は、人を憎むことがありません。
相手のいいところばかり見て、意地悪人間にも親切にしてしまいます。
ですから、「あいつはお人よしで損ばかりしている」と言われているのでしょう。
しかし、一見したところ意地悪な人にも、どこかいいところがあるかもしれません。
その可能性をはじめから認めないのは、ある種もったいないことではないでしょうか。
一方、誰にでも温厚な人は、典型的なプラス思考の持ち主と言えるでしょう。
そして、それだけ人間関係の可能性も大きいということです。
つまり、他人の「いいところ」ばかりを見て暮らす楽しい人生は、損な人生とは言えないのです。
むしろ誰にでもニコニコとしている人のほうが、出会い遺伝子がオンになりやすく、運命の出会いを引き寄せることも多いことでしょう。
『そうだ! 絶対うまくいく! 幸せ遺伝子オンになる生き方 (PHP文庫)』
誰かと争いになり、口論したとき、もし相手を徹底的に打ち負かしたとしたら、相手から怨(うら)みを買うだけだ。
勝ったとしても、逆に損をすることが多いことに気づかない。
小利口(こりこう)で、目先の利益だけを考え、少しでも多く自分が得ようとする人だ。
お人よしは、ボーっとしていて、自分の損得の疎(うと)い。
自分が受け取る以上に、人に与えてしまう。
勝ちをゆずってしまうような、まわりから見たら、少し損をして生きる人。
「お人よしは損ではない」
受け取る以上に、人に多く与えれば、いつかそれがめぐってくる。 |
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