2015.9.5 |
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正負の法則 |
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美輪明宏氏の心に響く言葉より…
みなさん常日頃から、自分の〈負〉は何であるかということをよく見て査定しておくことです。
〈負〉と〈正〉を自身でよく分析して、「私のこういうところは〈負〉なんだ。じゃあ〈正〉のほうはどうだろう」と。
それはまず健康であるとか、健常者として普通の生活ができる。
それがなによりの〈正〉です。
それをあたりまえだと思って〈正〉だと思わない人が多いのです。
病気になってみないとわからない。
また、自分は病気で〈負〉ばかりだと言う人、自分には何も〈正〉がないと思っている人がいる。
だけど〈負〉ばっかりだと思っている人が、健康か愛情に恵まれていたり、面倒をみてくれる人がいたり、物質的に困らないでいられるという〈正〉を持っている場合もあるのです。
逆に大金持ち、大富豪の家というのは、長患いの病人や、けがをしている人がいたりする場合が多いのです。
大金持ちの人で、家族みんなが健康でバリバリというケースは少ないのです。
身内にずっと精神か肉体のどこかを患っている人がいたり、近親憎悪をはじめとした人間関係のおぞましい生き地獄の中で暮らしていたり、というのが私の知る限り、多く見受けられます。
若い女の子には、自分の器量が悪いということを〈負〉だと思っている人もいるでしょう。
だけど頭がいいとか、性格がいいとか、健康であるとか、器量は悪いけど、色が白いとか言われる女の子もいるのです。
ですから、やたらと人をうらやんだりしないこと。
《正負の法則》を知っていれば、妬(ねた)んだり、うらやんだりする必要がなくなってきます。
〈人間は、必ず平等にツケを払わなければならない〉
という基本がわかってくると、逆に同情こそすれ、うらやましがることはなくなってくるのです。
一番肝心なことは、悪いことが起きたからといって、嘆き悲しむことはない、ということです。
悪いことは長くつづきませんから。
そのかわり、良いこともまた長くはつづかない。
だから、良いことがあったときには、施(ほどこ)しをするなどして、そこそこの〈負〉を先回りして自分で意識してつくるとよいでしょう。
そうすれば予期しない、ものすごい〈負〉に襲われなくてすむようになります。
向こうから不意に襲ってきた〈負〉ではなく、自分が意識して前もってほどほどに作った〈負〉であれば、嘆き悲しむこともありません。
仏教でいうところの他人への施しの行はそういうことなのです。
結局自分のための施しということになるのです。
“情けは人のためならず”ということです。
『ああ正負の法則』PARCO出版
有名人やタレントにあこがれる人は多い。
しかし、有名になって華々しく表に出れば出るほど、その反作用はある。
いわれない誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)や、嫉妬や悪口などだ。
幸田露伴に「幸福三説」という言葉がある。
「惜福」「分福」「植福」の三つのことをいう。
「惜福」とは、福を惜しむことであり、自分だけで使い尽くしてしまわないこと。自分にまわってきた福とご縁に、謙虚に感謝する姿勢。また、ご先祖様や神社において、感謝の気持ちをあらわすこと。
「分福」とは、幸福を人に分け与えること。世のため人のために尽くすという姿勢。恩送りという考え方でもある。
「植福」とは、木を植えるように、将来に向かって今から幸福の種をまいておくこと。人知れず、社会の役に立つ努力をコツコツと重ねることでもある。
「勢い使い尽くすべからず」という禅語があるが、まさにこれも同じ。
調子のいいときほど、行動を慎み、感謝の心を持ち、謙虚に生きることが必要。
また、その逆の絶不調のときも同様。
「正負の法則」はとても大事な人生の法則。 |
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