2015.9.1 |
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正義感の罠(わな) |
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小林正観さんの心に響く言葉より…
真面目な人ほど、正しさを追い求めてしまいます。
その結果、敵意と憎しみが湧いてくるというように、人間の心が創られているのかもしれません。
社会を四十年観察してきた結果、真面目な人ほど、人生を暗く辛いものにしていることが読み取れてきました。
心の勉強をしていった結果として、いろいろなことを学び、心正しい人になり、心正しい行動をするようになっていきますが、どの人も九十八点まできたときに陥りやすい罠があります。
ある大きな災害のときのこと。
自分の家や土地すべてを売り払って数千万のお金を作り、被災地で炊き出しをした農家の方がいらっしゃいました。
ボランティアで一日三食、合計二千四百食を毎日作り続けました。
この話を聞いた人たちも募金をして、半年ものあいだ、炊き出しを続けることができたそうです。
半年後、仮設住宅などができ、必要がなくなったので、家族のもとへと帰っていきました。
この話を聞き、日本各地の商工会議所などから講演依頼がくるようになりました。
そこで、このような話をされたそうです。
「あまりにも悲惨な状態だったので、家や土地を売り、乗り込んでいきました。
いま聞いている皆さんは、会社があり、社員がいて、預貯金もある。
そういうものを全部売り払って、なぜ同じことをしなかったのですか」
心温かくて困った人のためにやっていこうという、神のような心を持った方でしたが、この一言を言った瞬間、会場はシーンと静まりかえったそうです。
そして、同じ主催者から、二回目の講演を頼まれることはありませんでした。
自分は喜ばれるように生きているのに、周りの人は呼応した生き方をせず、自分勝手に生きている。
「あの人がそう思うのが許せない」という、正義の「敵意」「憎しみ」の小さな芽は、誰の心の中にも宿っています。
他人を憎む「心」そのものが、争いの種になっています。
他人をや世の中をどうするかより、自分の中の敵意と憎しみをなくし、太陽のように明るく生きていくこと…。
よい仲間と明るく楽しくいたいのならば、目の前の人に対して「自分と同じように振る舞え」「同じ価値観になれ」と強制するのをやめる。
よい話を聞いて、周りの人にたくさん広めようと思った瞬間、よからぬものが入り込んでいる可能性があり、運とツキが逃げていくようなのです。
人間は、ろくなものでもなくて、大したものでもないと思うことで、心地よい方向にいけるのかもしれません。
『笑顔で光って輝いて (じっぴコンパクト文庫)』
正義感とは不正を憎み、正義を尊ぶ気持ちのこと。
しかし、憎しみからは愛や温かさは生まれない。
だから、正義感の強い人は、周りの人といつか衝突することになる。
その主張がどんなに正しいことであっても、人にはそれぞれ事情があり、できることとできないことがあるからだ。
どんなに正しいことであっても、押しつけられたら誰でも嫌になる。
その人の生き方が温かく、明るくキラキラと輝いていて、その後ろ姿に感動したときだけ、人は共感する。
正義感を振りかざす人からは、人は離れていく。
まさに、北風と太陽のように。
「正義感の罠(わな)」
仕事でも、ボランティアでも、趣味の活動でも…
人に自分の価値観を押し付けず、自ら勝手に、面白おかしく、楽しんでやる人でありたい。 |
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