2015.7.16 |
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代替芸術家と表現芸術家 |
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石井貴士氏の心に響く言葉より…
芸術には、2種類あります。
代替芸術(代替芸術家)と、表現芸術(表現芸術家)です。
代替芸術…誰かがつくったものを、自分という人間を媒介して、表現するという芸術のこと。歌手、声楽家、演奏家、声優、俳優、ミュージカル女優、アナウンサー、ナレーターなど
表現芸術…ゼロから1を生み出すことで、自分を表現する芸術のこと。作詞家、作曲家、画家、彫刻家、作家、発明家など
多くの人は、芸術をひとくくりに考えています。
ですが、代替芸術と表現芸術は、明らかに違う分野です。
歌手は、誰かが作った曲を、上手に歌うことで評価されます。
「私はこういう歌詞に変えたいんだけど。メロディーを変えて歌いたいんだけど」といって、勝手に変えることはありません。
俳優も、基本的には、セリフを勝手に変えてはいけません。
誰かが書いた脚本をもとに演じるのが、俳優です。
アナウンサーも、ニュース原稿を勝手に変えて読んではいけません。
何もないところから、何かを生み出していくのが、表現芸術家です。
作曲家は、何もないところから、オリジナルの曲を生み出します。
作家も、白紙の原稿に、自分の頭で考えた文章を書いていきます。
表現芸術家であるシェイクスピアがストーリーを作り、代替芸術家である役者が演じます。
代替芸術は、表に出る職業なので、多くの人から認められます。
テレビで歌を歌ったら、「すごいですね」と言われます。
歌手になりたい、アナウンサーになりたい、女優になりたい、というのは、誰もが見てわかりやすいからです。
ところが、「作曲家になりたいんです」という幼稚園児は、聞いたことががありません。
松田聖子さんが歌を歌っているのを見て、「聖子ちゃんみたいになりたい」という人は、大勢現れました。
99%の人は、松田聖子という代替芸術家に目が奪われます。
99人が「松田聖子みたいになりたい」と思っているなかで松田聖子に楽曲提供をしたいと考える人だけが、表現芸術家になれるのです。
多くの人が見ている前で活躍するのが、代替芸術家。
誰も見ていないところで頑張っているのが、表現芸術家です。
代替芸術家の世界は、誰かと常に競争する必要があります。
野球選手は、ほかの選手よりも一厘でも打率が高ければ、首位打者になれます。
「ナンバーワン」になると評価されるのが、代替芸術家です。
一方、「オンリーワン」でいることで評価されるのが、表現芸術家です。
ピカソの絵は、誰が見ても「ピカソの絵だ」とわかります。
ピカソは、誰とも競争していません。
ただ、自分と戦っているだけです。
レッドオーシャン、ブルーオーシャンという言い方があります。
レッドオーシャンは、赤い海。
血で血を争う市場のことを言います。
競争過多で、参入する人が多い世界です。
ブルーオーシャンは、青い海。
競争相手がいない市場のことです。
表現芸術家になるということは、あなただけのブルーオーシャンを手に入れるということなのです。
「ナンバーワンになるんだ」と頑張るのではなくて、自分で勝手にジャンルを作って、そこでトップに立てば、それだけでオンリーワンになれます。
イケメンに顔で勝負しても、勝てません。
ですが、あなたが勝っているところで勝負すれば、勝てます。
ビジネスで成功する秘訣は、「誰もいない空き地を見つけて、勝手に自分の旗を立ててしまうこと」です。
このことを提唱したのが、竹村健一先生です。
竹村先生がおっしゃっているのは、自分でネーミングして、商標登録をしてしまえば、自分だけの市場が作れるということです。
『本当に頭がよくなる1分間アイデア法』SBクリエイティブ
スティーブ・ジョブズの言葉に次のようなものがある。
「製品をデザインするのはとても難しい。
多くの場合、人は形にして見せてもらうまで、自分は何が欲しいのかわからないものだ。
消費者に、何が欲しいかを聞いてそれを与えるだけではいけない。
完成するころには、彼らは新しいものを欲しがるだろう」
先が読めないこの激変の時代、誰もが思いつかないようなクリエイティブな発想がどの分野でもますます必要となってきた。
それが、表現芸術家的能力。
「誰もいない空き地を見つけて、勝手に自分の旗を立ててしまうこと」
レッドオーシャンではなく、ブルーオーシャン。
表現芸術家的能力を磨きたい。 |
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