2015.7.12 |
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あらゆる業界で異業種格闘技戦 |
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早稲田大学ビジネススクール教授、内田和成氏の心に響く言葉より…
今は、時代の大きな変革期です。
これまでの常識、慣習にとらわれない新しいサービスを生み出す人しか、生き残れない時代がやってきています。
例えば、これまでコンピュータを作ってきたアップル社が、たった1個のデバイスiPadで新しい音楽流通の仕組みを構築し、音楽業界の市場をあっという間に奪いました。
次にiPhoneでは携帯電話市場にも参入し、瞬く間に世界中で大きなシェアを築きました。
業界の垣根を越えて顧客の奪い合いがおきているのです。
スポーツにたとえれば、サッカーで戦っていたところに、ラグビー・プレーヤーが来て、そいつがボールを手にして走りだしたような光景です。
「それはルール違反だ!」と叫んでも「オレたちの業界ではこういうやり方なんだ!」と言われれば何も言えません!
銀行業も、この波にのまれています。
長い間、都銀・地銀・信金・信組といったピラミッド構造が厳然としてあった業界にもかかわらず、「コンビニ銀行」「ネット銀行」が驚くほどシェアを伸ばしています。
古いタイプの銀行家は、「銀行にはもっと大事な機能がある。世の中のお金を集めて、必要な企業に貸し付けて利子を取るという、経済活動のいちばん大事な機能を担っている。ATMの場所貸しで稼いでいるビジネスと一緒にしないでほしい」と言うでしょう。
しかし、現実に、若い人たちは圧倒的にコンビニ銀行やネット銀行を支持しています。
銀行のメイン業務である融資業務もそのうちどうなるかわかりません。
異業種格闘技戦があらゆる業界で勃発しつつあります。
驚くべき速さで変わっていく時代の流れの中、「問題はこれです」と教えてくれることは、極めてまれです。
これからの時代を強く賢く生きるために必要なことは、自分で設計図を書いて、材料を考えて、加工して新しい価値あるものを作り出すということではないでしょうか。
日本の企業にも、そして一人ひとりにも、過去の成功にとらわれず、“革新”の気持ちをもってもらいたいと思います。
そのような状況で力を発揮するのが「仮説思考」です。
仮説思考というのは、結論から考える発想法です。
小手先のスキルやテクニックではなく「考え方」ですから、一度身につけたら、時代が移り変わっても一生使える道具になります。
「問題を発見する」「短時間で論点と解決策を絞り込む」ことがもっとも重要な能力として求められる時代に、私たちは生きています。
『すぐに実行できるのに誰も教えてくれなかった考える力をつくるノート (KEIO MCC Intelligence Series)』講談社
セブンイレブンの鈴木敏文会長は、「仮説」についてこう語っている。
「経験の多さがモノを言った時代には『思いつきで仕事をするな』と言われたが、今や、仮説に基づいた『思いつき』のほうがむしろ重要な時代になっていることを忘れるべきではない」
恐ろしいほどの変化の時代、あらゆる産業や業種において、これまでの常識や法則が通用しなくなってきた。
つまり、鈴木敏文氏のいう「競争相手は、同業他社ではなく、時代の変化」、だということ。
自分たちの業界の情報だけでなく、他業界の情報や自分の雑多な経験に基づいて、自分独自の仮説を立てること。
そして、「仮説」は、バカバカしいような「思いつき」を大事にする。
あらゆる業界で異業種格闘技戦が始まっている。
この時代の大きな変化を乗り切りたい。 |
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