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2015.7.1

言葉の贈り物

小林正観さんの心に響く言葉より…

自分の口から出てくる言葉が、温かい言葉、人を優しくする言葉、明るくする言葉でしかないように、自分の口から出てくる言葉を彩(いろど)りたい、って考えた人がいます。

良寛和尚(りょうかんおしょう)という人です。

良寛さん。

この人は幕末の人で1831年に74歳で死んだんですね。

非常に貧しい乞食坊主だって自分で言ってまして、自分は人に対して物やお金を贈り物として与えることが全然できない。

でも、いつも人に対して何かを贈りたいと思っている。

では、自分に贈れるものは何か。

それは「言葉」である、っていうふうに言っていた人なんですね。

自分の口から出てくるすべての言葉が、人を温かくする言葉、そういうものでありたいって規定をして生きてきた人だったんですが、この思想を「愛語(あいご)」と言います。

私は、それを聞いてハッとしまして、それまで「“不平不満、愚痴、泣き言、悪口、文句”を言わないようにしましょう」と言っていたんですけど、良寛さんのこの話を聞いたときに、それらを言わないだけではなく、それをゼロにするだけではなくて、私の口から出てくる言葉は、はっきりとした自覚をもって、人を温かくする言葉、明るくする言葉、優しい気持ちにする言葉、励まし続ける言葉…そういうものしか、もう自分の口から出てこないようにしようって決めたんです。

で、それを続けていくと、これまでも私は友人・知人にすごく恵まれてきましたが、その人間関係の厚みがもっと増した気がしてるんです。

そういうものだけで自分の言葉を彩るって今日から決意をすると、人間関係が多分変わってきます。

自分の口から出てくる言葉全部が、人を温かくするもので規定をして、その言葉を贈り物とする人は、豊かな人っていうんですね。

お金や物っていうのは、あげてしまうと自分のところからは無くなります。

でも、言葉というのはいくら出してあげても、無尽蔵に存在するものなんです。

と同時に、それを外に出さない限りは持ってないのと同じなんです。

言葉は、出せば出すだけ贈り物になる。

出して初めて存在が確認されるんです。

だから、心の中でいくら思っていても、それは出さなければ絶対、贈り物にはならないんです。

「今日はそのネクタイ似合ってますね」って思ったら言ってあげる。

「今日はそのスーツ素敵ですね」って思ったら言ってあげる。

それが、その人を励ましたり、勇気づけたり、元気づけたりする言葉であるならば、全部それが贈り物になるってことです。

で、そういう言葉を贈り物にできる人が、実は本当に豊かな人になるんですね。

いくら出しても無尽蔵に存在するものを私たちはたくさん持っているんですから、独り占めはしないでくださいね。

あなたの出す温かい言葉は、すべて贈り物なんですよ。

たくさんの贈り物を届けてあげませんか。

『で、何が問題なんですか 〜小林正観 質疑応答集 (未来の智恵シリーズ9)』弘園社


我々は「誰かを喜ばせたい」「お礼をしたい」、と思うと、何か物を贈らなくてはいけないと考える。

しかし、何かいいか、を考えているうちに時間が経ってしまい、そのうち忘れてしまう、などということはよくあることだ。

人の心を温かくする一番の贈り物は、温かな「言葉」。

逆に、人をがっかりさせ、落ち込ませ、嫌な気持ちにさせるのも、冷たい「言葉」。

温かな言葉は誰も持っていて、誰もが発することができる。

しかし、だれもが簡単にできることを、だれも真似できないくらいやり続けることほど難しいことはない。

たくさんの言葉の贈り物ができる人でありたい。



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