2015.5.28 |
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情と思いやり |
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松下幸之助翁の心に響く言葉より…
戦後まもなく、会社の再建期に、各地の営業所長と事業部長との合同会議が開かれているときのこと、幸之助の横に座って、社長を補佐しつつ議事を進めていた営業所長のところに、緊急の電話が入った。
母親が死去したという知らせであった。
幼少で両親を失った彼は、その後、叔母を養母としていたが、その養母が亡くなったのである。
席に戻った営業所長は幸之助に、そっとその事情を説明し、会議が終了するのを待って帰宅することを告げた。
しかし、幸之助は許さなかった。
さっそく会議を中断、彼を社長室にいざなってから言った。
「今からすぐに帰りなさい」
そして、「ちょっと手を出せ」と、当時まだ珍しかった千円札を十枚、その手に握らせた。
『エピソードで読む松下幸之助 (PHP新書)』PHP新書
とっさの、言動や行動で、その人の情の深さや、やさしさがわかってしまう。
こんな話を聞いたことがある。
ある会社で、パートの女性が、自分の娘が初めての出産なので、申し訳ないが手伝いのため、ひと月ほど休ませて欲しい、と頼んだそうだ。
その時、上司は、「そんなに休んだら、帰って来ても君の席はないかもしれないよ」と、この忙しいときに、休む期間が長すぎると文句を言ったという。
「おお、それはおめでとう!どうかゆっくり面倒を見てやってください」となぜ、ニコッと笑って送り出せないのか。
困って頼ってきた人に対する態度で人間の度量がわかってしまう。
人に対する情ややさしさがなければ、人はどんどん離れていく。
どんなに表面的には優しそうであっても、冷たい人、思いやりのない人には誰も人はついていかない。
情と思いやりの深い人でありたい。 |
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