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2015.5.21

だからよかった

藤木相元氏の心に響く言葉より…

私の知人に、とても仏像の好きな人がいます。

べつに信仰がどうのこうのというのではないのですが、ヒマを見つけては京都あたりへ行き、仏像めぐりをしたり、小さな仏像を買ってきたりしているそうです。

ある日、その友人が神妙な面もちをして私のところへやって来ました。

どうしたのかとたずねてみると、ある日、テレビの上に飾っていた仏像の一つに、ヒビがはいったというのです。

ふと気づくと、肩口からパックリ割れていたそうです。

奥さんや子どもは気味悪がるし、かといって仏像だけに捨ててしまうとバチが当たるのではないか、とその人は気にしていました。

そうしているうちに、お子さんが自転車で転んでケガをしたり、奥さんが急に腹痛を訴えて病院にかつぎ込まれたりと、悪いことが続いたそうです。

これはいよいよ凶運につかれた、どうしたらこの凶運を払えるだろうかと、私に相談に来たのです。

「それはむしろ、不幸中の幸いでしたね」

と、私はその人に言いました。

凶運につかれたどころか、起こるべくして起こった事故や病気を、その仏像が身を挺して最小限にくいとめてくれたのですよ、と。

その人は、私のこの言葉に安心したのか、ホッとした表情で帰っていきましたが、以後、こうした悪いことは起こらなくなったそうです。

お子さんのケガもすぐによくなり、奥さんの腹痛も、たいしたことがなくおさまったという報告がありました。

といっても、私が本気で仏像が災厄を背負ってくれたと思っていたわけではありません。

僧侶である私が言うのも何ですが、いくら仏像といえども、所詮は単なる木片です。

部屋の空気が乾燥していれば、ヒビがはいることもあるでしょう。

とくにテレビの上は熱が放出されるので、ヒビがはいってもすこしもおかしくはありません。

それを不吉だとか縁起でもないなどと考えるから、ほんとうに悪いことばかり起こってしまうのです。

しかし、ものは考えようです。

ちょっと縁起が悪いと思えることがあっても、いっそそれを利用して、“運のいい話”に変えてしまえばいいのです。

この知人の例でいえば、「仏像が、家族に起こる危険を最小限におさえてくれた」というのがそれです。

このように、縁起の悪いことでも、自分のいいように解釈できれば、考え方も「明」の方向に向かい、ほんとうに凶運を未然に防ぐことができるのです。

極端なことをいえば、“凶”として迎えたものでも、全部“幸”にしろ、ということです。

たとえば手が痛い、足が痛いといっても、それは神経が通っている証拠、つまりは生きている証拠ですから、「いやあ、体が痛くなってよかった」くらいに思えばいいのです。

あるいは、頭が痛いというのは、「今日は休んで寝なさい」という信号であり、そのままつっ走っていると倒れるよ、と言ってくれていると思えば、むしろありがたいと考えられることなのです。

このように、病気でさえ「病気になってよかった」と思っていると、たいしておもくならずに、病気は退散していくはずです。

つらいこと、かなしいことがあったとき、とにかく、「どうしてオレはこんなに不運なのだ」などと嘆いたり、グチをこぼさず、明るいこと、楽しいことと考え直してみてください。

それが無理なら、ヤセがまんでも、「いやぁよかったですね」と口に出してみることです。

それをくり返していくうちに、いつしか心の底から、そう思えるようになりますが、そうすれば自然に「明」になり、不運を遠ざけ、幸運を近づけることができるのです。

『運のつくり方・開き方―人生は変えられる (PHP文庫)』PHP文庫


運のいい人は、なんの根拠もなく「自分は運がいい」、と思っている。

だから、まわりからの不吉な言葉や考えを受け入れないし、明るい方、明るい方ばかり見ることができる。

どんなことがあっても、「最後にはうまくいく」「最後はラッキーなことが起こる」と考え、それを心底信じている。

反対に、心配ばかりする人は、心配ごとを呼び寄せることになる。

自分は運がいいと信じている人は、うまくいった時のことしかイメージしない。

だからどんな時も明るくいられるし、能天気なくらい、楽天的な考えでいることもできる。

マイナスなことに対しても、「だからよかった」と常に言うことができる。

100人中99人が不運だと思われることが起きても、それを瞬時に「運がいい」と考えることができるようになるには、いい事にも悪いことにも「感謝」できるようになること。

「だからよかった」と言えば、「ありがたい」と感謝の気持ちがわいてくる。

いつも明るい方を見ている人でありたい。



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