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2015.5.6

悠々として急げ

城山三郎氏の心に響く言葉より…

人生は込(こ)み合う汽車の切符を買うため、大勢の人々と一緒に、窓口の列を作って立っているようなものである。

中々自分の番が来ない。

時間が迫って来て気は急(あ)せり出す、隣の方が空いていそうに見えるので飛び出して見たくなる。

しかし一度自分の列を離れたが最後、あっちこっちと徘徊(さまよ)ってみても、そこにもまた順番がある。

しまったと気が付いて元の列に立ち戻って来れば、自分の前に居た所は、己(すで)に他人に占領されていて、遥(はる)か後ろに廻らなければならない。

結局急いだ為に却(かえ)って遅れることになる。

《男子の本懐》

『人生の流儀』PHP研究所


スーパーのレジや空港などの列に並んだとき、多くの人は自分の選んだ列が一番遅く感じる。

せっかちな人は、早そうな列に並び変えたりするが、たいていはかえって遅くなる。

人生もかくのごとしだ。

「急がば回れ」であり、「近道は遠道」でもある。

渋滞している道路を避け、近道を行ったりすると、かえって遅くなることが多い。

みな同じことを考えるからだ。

「悠々(ゆうゆう)として急げ」

不世出のアマチュア・ゴルファーと言われた中部銀次郎や、作家の開高健が好んだ、ラテン語からきた言葉だ。

ゴルフはスピーディなプレイをしなければまわりが迷惑する。

だから急がなければならないが、しかし、悠々として、王者のごとく急ぐこと。

どっちの道を行っても同じ、どの列に並んでも同じ、と肚をくくり、王道を往く。

悠々として急ぐ人でありたい。



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