2015.4.30 |
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一期一会を大切にする |
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諒純也氏の心に響く言葉より…
多くの文学者が「日本文学の骨子は『源氏物語』で大枠が完成した」と述べている。
ご存知の方も多いと思うが、紫式部の著作による、この宮廷文学の根幹をなすテーマは「もののあはれ」である。
すなわち、「どんなものでも永久、永遠なものはなく、必ず、はかなく終焉を迎える運命にある」という、世の中の現実を直視した考え方で、後の平家物語にも「諸行無常」という言葉で表現されている。
そうしたはかなさを直視して受け止める考え方が日本文化の底流となっている。
実際、日本の国土は湿潤な気候のため、西洋の建築物のようにれんがや石造りをもって千年単位での使用に耐えうることは不可能である。
同じような建築物であれば百年単位で浸食されてしまうであろう。
また、度重なる嵐や地震ですべてが灰燼(かいじん)に帰すような悲惨な体験を、日本人は長年にわたって経験してきた。
このように、民族が大自然の厳しさに耐えてきた歴史そのものが反映されていると考えて良い。
よく、西洋人が「桜の花」を見て不思議に思うそうである。
「美しいことは確かだが、わずか数日で散ってしまうような花のどこが良いのか?」
西洋人の感覚としては、花といえば「派手で、艶(あで)やかで、ある程度の期間にわたって目をたのしませてくれるもの」という意識が強いのであろう。
英国風のローズガーデン(バラ庭園)などが好例といえる。
だが日本人はソメイヨシノのパッと咲いてパッと散ってしまう、このなんとも「あはれ」な姿にこそ共鳴する精神を有しているのだ。
まさにソメイヨシノに代表される桜の花こそ、「源氏物語」において紫式部が看破(かんぱ)した「日本人の精神の根幹」を表現していると言って良いだろう。
日本人の心に宿るこの精神こそ、明日をも知れぬ世の中で今日という一日を大切に生きる、目の前の仕事に真剣に取り組む、などの行動を産み出しているのではなかろうか?
ぜひ、この伝統は大切にしたいと思う。
『なぜ、この日本精神は世界一なのか』コスモ21
『平家物語』の冒頭に「盛者必衰の理(ことわり)」という言葉がある。
この世に存在するありとあらゆるもの中で、永遠に続くものはない。
どんなに勢いのある者もいつかは衰え、滅びる、ということ。
それを「無常」といい、はかないことをいう。
「もののあはれ」とは、しみじみと深く感じる情感や哀愁をいうが、まさに無常であり、はかなさを惜しむ心でもある。
人の一生も同じで、「一期(いちご)は夢」という言葉の通り、夢のように一瞬のことともいえる。
だからこそ、この今、この一瞬を大切に生きるしかない。
何事も、生涯に一度限りという気持ちで…
一期一会を大切にしたい。 |
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