2015.4.25 |
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末広がり |
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伊那食品工業会長、塚越寛氏の心に響く言葉より…
企業は、永続的に安定成長することによって、より多くの人びとを幸せにすることができると考えてやってきました。
ゆるやかな末広がりの成長をつづけて、永続する企業であること。
これが私の理想像です。
末木広がりを「八の字経営」とも呼びます。
前を向いて両手を広げて立つ、大らかな感じ。
閉塞感がなく、夢や希望に満ちている状態です。
常に末広がりであることとは、ゆるやかに、かぎりなく成長をつづけていくという意味です。
末広がりの成長をイメージしながら経営判断を重ねていけば、生産設備の無理な投資や、それによる供給の過剰を抑えられます。
末広がりを志向するならば、若いときのスタートは、むしろ低いほうがいいでしょう。
必ずしも景気のいい会社に勤める必要はなく、若いときの努力が無駄にならない会社や業界かどうかを、判断したほうがいいかもしれません。
恵まれない状態からスタートすれば、将来は末広がりになっていくはずです。
人一倍に苦労をして考え、人の話に耳を傾けて学ぶ謙虚さが身につくからです。
仲間と仲良く力を合わせて働くことの喜びを知るためにも、スタートの時点ではあまり恵まれていないほうがよいのではないでしょうか。
年を経るごとに、思いどおりに運が開けて末広がりになっていくためには、実力をつけていなければなりませんから、そのためにも、日ごろの勉強を怠らないのは当然のことです。
実力を自分につけることが先決で、どの会社に勤めるかは大した問題ではありません。
努力して、自分を高めていけばいいのです。
加齢するにしたがって、何となく充実し、幸せになれるような人生こそ、末広がりの、いいかたちの人生だと思うのです。
プロ野球のドラフト一位で入団したピッチャーがいました。
最初は成績が良くて年俸も上がり、豪邸を建てて華やかな結婚式を挙げました。
やがて何かの事情で調子をくずして二軍に落ち、収入が激減して、マスコミにも登場しなくなりました。
家を手放し、奥さんにも見放され、失意のうちにみずからのいのちを絶ってしまいました。
尻すぼみの人生の典型です。
この逆のかたちが、一番幸福を感じられるのではないでしょうか。
経営もまた然(しか)りだと、私は思います。
『新訂 いい会社をつくりましょう』文屋
「本物は続く、続けると本物になる」
という、東井義雄先生の言葉がある。
東井先生は、哲学者、森信三先生から、「教育界の国宝」と評された人だ。
人も、老舗も、本物は長く続いている。
地味にコツコツと目立つことなく続けること。
末広がりの人生でありたい。 |
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