2015.4.22 |
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聞く力 |
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上阪徹氏の心に響く言葉より…
著名な方々から一般の方々まで、3000人以上インタビューをしてきた経験から、ひとつだけ、これは間違いなくそうだろう、と確信していることがあります。
それは、人は自分のことを話したい生き物なのだということです。
なぜなら、多くの方が本当に楽しそうにインタビューを受け、たくさんのことを話してくださるからです。
しゃべることについて好き嫌い、得意不得意はあるのかもしれません。
しかし、基本的に自分について知ってもらうことが嫌いな人はいない。
それが私のひとつの結論です。
つまり、人に聞いてもらえて、しゃべる機会を得られるというのは、とてもうれしい時間であるということです。
では、とにかく何でもかんでも聞いていけば、心地よく自分を出してもらえるのかと言えば、必ずしもそういうわけではありません。
気持ちよく質問に答えてもらうためには、心得ておかなければいけないことがいくつもあります。
いずれにしても、基本的には「人はみんな自分のことを話したい」「しゃべることが嫌いな人は少ない」のです。
だから、聞いてあげる。
聞くことは、相手の満足を生み出すことにもつながる。
質問を繰り出す効能は、多くの人が思っている以上に大きいということです。
そして日々の仕事においても、聞くことは大きな力を発揮します。
相手が求めるもの、期待や満足について聞くことができれば、相手は安心感と信頼感を持って、仕事を任せられるようになるからです。
もうひとつ、聞いて話すことの意外な効能について、私は取材で教えてもらったのでした。
あるアーティストの方へのインタビューでした。
芸術分野で多大な実績を残している方。
そういう人たちはアトリエにこもってウンウンとうなりながら作品をつくり上げてくものとばかり私は思っていたのです。
ところが、出てきたのは意外な話でした。
アイデアは、複数のスタッフや関係者で、ワイワイいろいろな話をしたり、質問をしたりしながら考えていくというのです。
なぜですか、という私の問いに、アーティストの方は極めて明快に答えてくださいました。
優れたアイデアは人間の脳の奥底に間違いなく眠っている。
それは、アトリエで一人でウンウンうなっていても、出てくるものではない。
ところが、誰かとコミュニケーションを交わしていると、思わぬ形でひょんとそれが外に出てくることがある。
自分一人では取り出すことができないアイデアや記憶、発想を、頭の中から引っ張り出してくるためにも、誰かに何かを聞いてもらったりして刺激を与えることが欠かせないことなのだ、と。
相手の脳の奥底に潜んでいるものを引っ張り出すと言う意味でも、相手に質問を繰り出し、いろいろな角度から話を聞いて、刺激していくことは大いなるプラスになるということ。
聞かれて話すことは、思わぬ仕事の成果を生み出す可能性も秘めているのです。
『会話は「聞く」からはじめなさい』日本実業出版社
目を輝かせてウンウンとうなずきながら、何時間でも自分の話を聞いてくれる人がいたとしたら、その人のことを大好きになるのは間違いない。
人は、自分のことをしゃべりたくて仕方がない生き物だからだ。
上手に聞いてくれる人がいれば、どんどん口が滑らかになる。
そして、そんなふうに気持ちよくしゃべっていると、「我ながらいいこと話してる」などと思うことは多々ある。
話すことによって、脳に眠っていたアイデアが表に出てくるからだ。
だからこそとても大事なのが、相手に気持ちよく話してもらう技術。
そのためには、相手に対して限りない興味や好奇心を持ち、聞きたくてしかたがない、という気持ちがなければならない。
相手の心の奥底に眠っているアイデアや、しゃべりたくてウズウズしているテーマの話を引き出す聞く力。
聞く力を身につけたい。 |
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