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2015.4.17

上機嫌も不機嫌も伝染する

筑波大学名誉教授、村上和雄氏の心に響く言葉より…

笑顔の人を見て、自分までつられて微笑んでしまったことはありませんか。

逆に、目の前の人が落ちこんでいたり、機嫌が悪いと、なんだか自分まで悲しく感じたり、腹が立ってくることもあるでしょう。

「感情は風邪のように伝染する」とは、心理学者のダニエル・ゴールドマンの言葉ですが、私たちは他人がおおよそ何を考え、何を感じているのかを瞬間的に理解することができるものです。

最近の脳科学の研究から、これは私たちの脳にある「ミラー・ニューロン」と呼ばれる神経回路の働きによることがわかってきました。

脳の前頭葉で活動するこの特殊なニューロンは、他人の行為を鏡のように脳内に映し出し、「他人の心を読み取る」という脳の大切な機能を支えているのです。

なぜそんな機能が発達したのでしょうか。

それは、ヒトが群れをつくって共同生活する社会的な動物であるからだと考えられます。

社会に適応するために、他人の心を読み取る必要が生じてきたのです。

私たちはこのミラー・ニューロンという他人の行為を映す脳の鏡によって、他人の意図、感情を瞬時に理解するのです。

ゆえにこの能力は、他人と柔軟にコミュニケーションするという人間の本質を支えているといえるでしょう。

日本人はもともと音声によるコミュニケーションが苦手だそうですが、現代人の中には、「他人の心を読み取る」ことが難しいと感じる人が少なくないようです。

「思いやり」や「他人の心を理解する」ことがなかなかできない子供も多くなっているようです。

これは現代の社会や自然環境の変化の中で、私たちの「ミラー・ニューロンシステム」が正常に働かなくなってきていることを警告しているのかもしれません。

もしそうだとすれば、ミラー・ニューロンの活動を活性化することが、老若男女を問わず、現代人には必要だと考えられます。

では、いったどうすればよいのでしょうか。

そのきっかけとなるのが、“笑顔”なのです。

ミラー・ニューロンによって、表情と感情は伝染していきます。

あなたがつまらないと感じそれを表情に表せば、相手もつまらなく感じるし、反対に、あなたが楽しければ、相手も楽しいと感じるのです。

だから、話す側だけでなく、聞く側も笑顔でいることが大切なのです。

『スイッチ・オンの生き方』致知出版社


フランスの哲学者、アランはこう語った。

「すべての不運や、つまらぬ物事に対して、上機嫌にふるまうことである。上機嫌の波はあなたの周囲にひろがり、あらゆる物事を、あなた自身をも、軽やかにするだろう」 
                         
また、同時にこんなことも言っている。

「お辞儀をしたり微笑んだりする仕草は、まったく反対の動き、つまり激怒、不信、憂鬱を不可能にしてしまうという利点がある」

つまり、幸せだから笑うのではなく、笑うから幸せになる。

そして、上機嫌も笑いも伝染する。

いつも上機嫌でいることは、まわりを幸せにする。



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