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2015.3.22

安目を売るな

サイバーエージェント社長、藤田晋氏の心に響く言葉より…

頼みごとがうまくて、いろいろな人に借りをつくるのが上手な人。

頼まれていろいろやってあげたり、貸しをつくるのが上手な人。

両者を比べた場合、どちらのほうが運がよくなるかというと、間違いなく後者です。

短期的にはいろいろな人に頼みごとをして、やってもらえる人は得をしているように見えますが、はっきりいってこの手の人は、一時運に恵まれることがあっても、長続きしません。

世話になったのに、いつの間にか不義理なことをしている。

やってあげたのに礼がない。

「あいつは借りたものを返さない」…本人も気づかぬうちに、そんなふうに恨みを買ったりして評価を下げることが多いからです。

僕が親しくしてもらっている先輩経営者は、「安目(やすめ)を売るな」という言葉をよく使います。

自分から変なお願いをして自分の価値を安くするなという意味ですが、安直に人に何か頼みたくなっても、やせ我慢してでも耐えたほうがいいということです。

反対にひたすら人に何かをやってあげながら、まったく見返りを求めない人は、何かあったときに不思議とみんなが手を貸してくれたり、回り回って思わぬ形で大きく自分に返ってきたりするのもです。

多くの人が「あの人はいい人だ」「何かあったら力になりたい」と思うようになり、いろいろな形で協力や応援をしてくれるのです。

すごく成功している人には、このタイプが多い気がします。

僕は人に頼みごとをすることが苦手なので、滅多にしません。

でも、何か頼まれたら基本的には応えるし、皆で食事をしたら基本的には自分がおごるようにしているし、お金を貸してほしいといわれれば、親しい人であれば上限を決めて貸すようにしています。

そして返済を求めたこともありませんし、別に相手に貸しをつくっておこうという計算があってするわけでもありません。

計算をし出すと、それは人から何かやってもらったり借りてばかりいる人と同じレベルになってしまいます。

損得勘定をしてしまう人は人間が小さくなっていくし、運にも好かれません。

人に頼まれて何かをやったり、お金を貸すときは、そのことを忘れるくらいの気持ちでいたほうがいいと思います。

芸能界の人は貸し借りのそのあたりの機微がよくわかっていて、借りをつくるのを嫌がる人が多いようです。

芸能界で長く生き残っている人は例外なく、借りができたらすぐに返し、一方で貸しはたくさんつくるというタイプの人です。

とくに芸能界の大物といわれる人は、安易に人に頼まず、その代わり人にはひたすらやってあげて見返りを求めないという生き方をしているのではないでしょうか。

大物といわれる存在にまでなった人の運の理由は、そのあたりにある気がします。

『運を支配する (幻冬舎新書)』(桜井章一&藤田晋)幻冬舎新書


小林正観さんは、「頼まれごとの人生をおくる」という、生き方をしたほうがいいという。

「頼まれごとの人生」の反対は「頼みごとの人生」。

頼みごとの人生は、人に、頼みまくり、いたるところで借りをつくり、借りっぱなし人生をおくること。

つまり、受けた恩を返さない人。

「安目を売らない」という自分の価値を下げない人は、やせ我慢ができる人。

武士道とは主には、「卑怯なことをしない」、「嘘をつかない」、「弱いものいじめはしない」、「惻隠の情を持つ」、「恥を知る」、「私より公を重んじる」、「理屈を言わす黙々と実践する」等々の生き方をいうが、それは、せんじつめれば、「やせ我慢」の精神であると言われる。

自分に甘い人は、人に借りっぱなしでも痛みを感じない。

また、できもしないのに、調子よく安請け合いすることも安目を売ることになる。

やせ我慢のできる人は魅力的だ。



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