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2015.3.4

この人はもう終わったなという人


明治大学教授、齋藤孝氏の心に響く言葉より…

かつて向上心を持っていて、いまは向上心がなくなった人というのは、“知的好奇心の矢”が飛び終わった人である。

教師でも、この人はもう終わったなという先生、情熱がほとんど失せてしまった先生もいれば、年をとるごとに情熱が高まる先生もいる。

若いときは同じように向上心があっても、30歳を過ぎるとだんだんその差が激しくなってくる。

だから私は「知的加速度」が大事だと思う。

この半年間でどれだけ勉強してきたか、知識を増やしてきたかと考える。

「うーん、仕事はしてきたが、それほど新しいことは勉強してこなかった」という人は、魅力が減っている恐れがある。

かつて人生50年と言っていた時代からすると、いまや70年、80年が当たり前になっている。

80歳まで生きるなら、60歳から数えても20年も学ぶ時間がある。

この間を漫然として過ごせば大変なよどみの長さとなる。

自分自身も晴れ晴れしないし、社会的にもプラスではない。

そういうことから私は向上心を習慣化、技化(わざか)することが重要だと思う。

人は老年期に向かうほど暇が増える。

そんなときこそ、新しいことにチャレンジする余裕が生まれるから、いままでまったく勉強してこなかった分野に挑戦してみる。

そこで「すごい、すごすぎるよ!○○」と週に一つでも増やした知識を家族や知人に話すようにする。

これを数か月続けたら大したもので、まさに向上心や知的好奇心を習慣化、技化したと言えよう。

いまあらゆる分野で「すごい、すごすぎる」ことが起こっているにもかかわらず、好奇心が不足して「見つからない見えない」ではあまりにももったいない。

市民大学の講師をしていた頃痛感したのだが、女性は30代40代と勉強し続けた人も多く、その間あまり勉強してこなかった男性との間に、しだいに大きな知的水準の差がついてしまう。

夫婦の会話もずれが生じてくる。

実際、男女のつき合いでも女性が男性の教養のなさにあきれて、つき合いをやめるケースもある。

年を重ねればこそ、男性も見た目や収入以外の知的なことに関心を持ってもらいたい。

知的好奇心は人としての魅力の源であるのは間違いない。

【”ちょっと尊敬”される人になる本 (単行本)】三笠書房


何かを、習慣化、技化(わざか)するにはアウトプットするのがいい。

例えば、読書を習慣化したいなら、読んだ本の感想や要約などをブログやフェイスブックで発信する。

ウオーキングを習慣化したいなら、毎日の歩いた歩数をメルマガやSNSで発表する。

好奇心は、頼まれごとを引き受けると、そこから広がってくることが多い。

例えば、PTAの役員を引き受ければ、学校のこと、教育のこと、組織の運営のことなどに興味がわき、そこに好奇心が生まれてくる。

ただし、大事なことは、どんなことを引き受けても、それを面白がることだ。

嫌々(いやいや)引き受けたり、面倒でつまらないと思ったら、そこに興味はわいてこない。

「この人はもう終わったなという人は、情熱が失せ、好奇心の矢が飛び終わった人」

いくつになっても、キラキラした好奇心を持ち続ける人でありたい。


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