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2015.2.15

幸運をつかむには


東京理科大学大学院教授、宮永博史氏の心に響く言葉より…

幸運をつかむということは、外部にある情報を活かすということに他なりません。

私たち人間には「自分の見たいものだけを見て、自分の聞きたいものだけを聞く」という性質がありますから、同じものを見ても気づく人と気づかない人がいるわけです。

つまり、同じ情報を得ても、幸運をつかまえる人とつかめない人がいるわけです。

そこで、幸運をつかむためには、心の持ち方が重要となってくるのです。

心のなかに自分がなりたい姿や解決したい問題を持ち、いつもそれを考えていると、外部の情報に対して敏感に反応するようになります。

ニュートンがりんごの木からりんごが落ちるのを見て万有引力の発見をしたというエピソードがあります。

その真偽はともかくとして、そもそも万有引力について常に考えていなければ、りんごが落ちるのを見ても万有引力に思い至ることはありません。

いつも万有引力について考えていたからこそ、りんごが落ちる状況を見て、「りんごは落ちるのに、空にある月はなぜ落ちてこないのだろうか」と関連付けて考え、万有引力の発見に至ることができたのです。

日々、私たちの日常には、種々雑多な情報が飛び交っています。

そのような夥(おびただ)しい情報のなかで、どれが自分にとって価値がある情報かを選び出すためには、意識を集中する必要があるのです。

物事の乱雑さ、無秩序の度合いを示す概念にエントロピーというものがあります。

乱雑さが増し無秩序になるほどエントロピーが増加する、というふうに使います。

情報もほうっておくとエントロピーが増加します。

つまり、「種々雑多度」が増えるだけで情報をうまく活用できない。

物知りだけれども知恵がないといわれる人は、多くの情報を断片的に知っているだけで、うまく活用できないのです。

情報を活用するためには、エントロピーを減少させ、情報を順序立てて関連付ける必要があります。

部屋を片付けるのにエネルギーが必要なように、エントロピーを減少させるには必ずエネルギーが必要となります。

エネルギーを使って意識を集中し、エントロピーを減少させる必要がある。

かけるエネルギーが多いほどエントロピーが減少します。

したがって、幸運をつかむのに心に強い思いを描くことが大切だというのは、自然の法則にのっとっているのです。

将来の自分のありたい姿や、解決すべき課題などを常に心に描いて考えを深めると、外部の情報が秩序立てて蓄積され、情報同士の関連が付けられ、幸運をつかみやすくなるのです。

心に描くものが、具体的であればあるほど、エントロピーが減少し、外部の情報を活かしやすくなります。

しかし、なかには、漠然とした思いはあるものの、まだ具体的に将来の自分のありたい姿を絞りきれていない人もいるかと思います。

そういう人は幸運をつかめないのでしょうか。

そんなことはありません。

その場合にも方法があります。

そういう人は、まず心がワクワクするようなことを見つけ熱心に取り組んでみることが幸運をつかむきっかけになるのです。

『幸運と不運には法則がある (講談社+α新書)』講談社+α新書


先日の日経新聞のコラムに、「米国の人気コーヒー店の日本初進出」の話があった。

そして、それだけならよくある話だが、「創業した米国人は、店づくりのヒントを日本の喫茶店から学んだ」ということだ。

今、アメリカのコーヒー業界には、第三の波と言われる現象がある。

それは、スターバックスコーヒーなどのセルフのコーヒー店に続くものとして、エスプレッソではなくサイフォンやドリップで入れる店のこと。

日本では長らく斜陽業種と言われてきたコーヒー店だが、見方や考え方を変えるとそれが全く新しいものとして世に登場する。

寝ても覚めてもある一つのことを考えていれば、普段と同じものをみても、まったく違うインスピレーションがわいてくることがある。

「明珠在掌(めいじゅたなごころにあり)」という禅語がある。

宝物はすでに自分の手の中にある、もうすでにあなたは持っている、という意味だ。

多くの人は、自分が持っている宝物や、身近にあるお宝に気づかない。

そして、それを見過ごしてしまう。

心の底に深く刻み込まれるような夢を持つこと、または、ワクワクするようなことに熱心に取り組むこと。

幸運をつかむ、気づき多い人でありたい。


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