2015.2.12 |
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すべての生物と心を通わせるには |
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立花大敬氏の心に響く言葉より…
J・アレン・ブーンさんの『ヒトはイヌとハエにきけ』(講談社)という本がとても面白かったので紹介します。
アレンさんはハリウッド全盛期に映画プロデューサーとして活躍された方で、ヒトはすべての生物と心を通わせることが出来るらしいと気づかれ、「異種間コンタクトの研究と実践」をライフワークとされた方です。
ハリウッドの仲間たちからは、「ハリウッドの聖人」「銀幕王国の聖フランシスコ」などと呼ばれていたそうです。
動物との心と心の通いあいの発見のきっかけとなったのは、名犬ストロングハート(シェパード)との出会いでした。
ストロングハートは、ハリウッド映画における、はじめての動物主役で、『名犬ラッシー』、『名犬リンチンチン』などの動物ドラマの先駆となったものです。
ストロングハートはもともとドイツの軍用犬だったのですが、ラリー・トリンブルという映画監督兼プロデューサーに見い出され、ハリウッド入りしました。
このトリンブルさんは、もともと動物の調教師で、カメラの前で動物を思いのままに動かすという特殊技能をもっていました。
ところが、そのトリンブルさんが用事でカリフォルニアを離れなければならなくなりました。
そこで、トリンブルさんのもとではたらいていたアレン・ブーンさんが自宅でストロングハートの世話をすることになったのです。
後年、彼は次のように語っています。
「駄犬の子イヌですら飼った経験もなかったんだ。
それがいきなり百万ドルを稼ぐスターのベビーシッター役だからね。
ところが、いざ飼ってみると、わたしがかれに教えることはほとんどなくて、かれから学ぶことのほうが多いことがわかった。
あのイヌはまるで母親のように、私の世話をしてくれたものさ。
かれから学んだことは、いまでもこころのなかで反芻しているよ。
あれは常識を根本からくつがえす関係だったね。
わたし自身にとっても、わたしの本を読んだ世界中の人たちにとってもね。
ストロングハートと暮らした時期ほど微妙で、浮き立つような精神の冒険に満ちた時期はほかになかったな」
ストロングハートをアレンさんの家まで連れてきた男性は、相手がイヌではなく、立派な人間であるかのような口調で、ストロングハートに話しかけ、このような非常事態となったいきさつ、アレン氏の家にしばらく住んでもらうこと、アレンさんが何者で、職業はなんであるかなどを、丁寧に説明してゆきました。
そして最後に、しばらくの間、アレンさんの家で生活し、たがいに仲良く暮らせるよう最善の努力をしてほしいと結びました。
その間、ストロングハートは背すじを伸ばし、耳をピンと立ててその説明に聞き入り、アレン氏がその説明通りの人物なのか、アレン氏の顔をジッとながめ、それから頭のてっぺんから足の先まで、ずーっと観察して、確認をとっているかのように見えました。
その男性はアレンさんにストロングハートの世話のマニュアルを手渡しました。
そこには食事の内容、時間、ブラッシングの方法、入浴のさせかた、運動のしかたなどが記されていましたが、その中に『知的な人間に接するのとまったく同じように接すること』というタイトルの一連の注意書きもありました。
たとえば、
「いかなるときも、見くびった態度で接しないこと」
「幼児ことばを使わないこと」
「決して本心ではないうわべだけのことばをかけないこと」
などということが事細かく記されていて、その最後に
「毎日、ためになる本を読んで聞かせること」
と書かれていました。
このようにしてアレン氏とストロングハートとの共同生活がはじまりましたが、イヌはヒトの思いをコトバ以前のところで正確に判断出来るが、ヒトの方がイヌの思いや伝えたいメッセージをとらえることが出来ないでいるということに気がつきます。
そこから、アレンさんの異種間コミュニケーションの探求がはじまり、どうしたらヒトと他の生物が心をかよわせ、お互いを正しく理解しあえるのか、そんなコミュニケーションを妨げているのは、いったいヒトの何なのか…、などを学びはじめたのです。
『大丈夫・そのまま ~自分が自分に帰る旅 (大敬先生《しあわせ通信》第九集)』本心庵
この本には続けて、アレン氏がハエ(あの飛んでいるハエ)と仲良くなる話があったが、それがとても興味深かった。
心の中でハエ(フレディと名付けた)に呼びかけると、いつでも自分のところに飛んでくるようになり、問いかけるとそれに対しても答えたという。
例えば、「君は私の世界で何をしようとしているのか」とフレディに聞くと、「あなたはボクの世界で何をしようとしているのか」という返事があった。
つまり、こちらの態度がそのまま鏡のように反射されてかえってくるのだそうだ。
この世は鏡のようなもの、とよく言われる。
誰かに嫌な仕打ちをすれば、嫌な仕打ちが返ってくる。
罵(ののし)ったり、怒鳴ったりすれば、どこかで、罵られたり、怒鳴られたりする場面に出会うようになっている。
ことばがわからない赤ちゃんだから、寝たきりで話しかけても反応しない病人だから、赤ちゃん言葉を使ったり、見くびった態度で接したり、うわべだけで接したりしていると、それは必ず自分に返ってくる。
「毎日、ためになる本を読んで聞かせること」
紳士淑女として接すれば、紳士淑女として遇される。
生(い)きとし生けるもの、すべてに対して敬意をもち真心で接したい。 |
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