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2015.1.3

いつか、本当の世界を見るときが来る


春日大社元宮司、医学博士、葉室頼昭氏の心に響く言葉より…

この世の中は見えないものが真実、実在なんですよ。

宇宙は見えないんです。

見えるものはほんのわずかしかない。

というのは見えるものというのは眼球が感じる波動しか見えない。

ところが波動というのは無限にあるんです。

だから見えないもの、実在のものが無数にあるんだけれど、無数にある波動をわからせるには、すこしだけ見せてやろうということです。

それが宇宙の仕組みでしょう。

すこしだけ見せたら、見えないものがある、それのすばらしさがあるということを感じるでしょう。

全部が見えてしまったら感激がない。

だからほんのわずか、人間の目が感じる波動は宇宙の無限の波動のなかのごくわずかなんですね。

それが証拠に赤外線、紫外線、X線をわれわれは感じないでしょう。

X線なんて感じないけれど、実際に骨が写りますね。

だから目で見えるもの以外は信じないなんて、冗談言ってはいけない。

見えないものをこそ信じなければいけないんです。

人間は自分が見たものだけが実在と思っています。

これはとんでもない話であって、イヌが見ている世界と、人間が見ている世界は、眼球が違うんだから、みんな違うわけですね。

感じる波動が違うんですから。

たとえば奈良公園のシカは車が来ても悠然と歩いている。

シカには車なんて感覚はないわけですから。

シカはシカの見ている世界があるわけでしょう。

それで悠々と行くわけですね。

シカはシカの世界で生きているんだから、全然別の世界を生きているわけです。

人間関係も同じで、あいつは嫌なやつだというのは、こっちにとって嫌なやつなんです。

だけどその男性をものすごく愛している女性もいるわけで、その女性にとってはすばらしい男性になるわけでしょう。

だから嫌なやつというのはいないんです。

そういう人間はいない。

あくまでもこちらにとって、ということなんですね。

立場が違うと同じ人間が変わって見えてくる。

決めるのは向こうではなくてこちらだということです。

だからこちらが変われば相手も変わるというんです。

嫌なやつだったら、こちらが嫌なやつじゃないと心を変えたら、嫌なやつが良いやつに変わってくる。

茶碗がありますね。

これは単なる茶碗なんです。

これに悪い茶碗もいい茶碗もない。

ただの茶碗なんです。

それが真実でしょう。

これがいいとか、悪いというのはこちらが決めることです。

その原理がわかったら、この世の中から悩みがなくなる(笑)。

それがわかって実践できたら、世の中はバラ色に変わる。

だけどわからないし、とても実行できないから、いままでみんな苦労しているんですね。

憎んだり、恨んだり、悲しんだり、悩むわけです。

それも一つの過程だから、そうやって人間が少しずつ進化していくのだろうと思います。

最後には人間は、いまから何万年先か、何億年先か知らないけれども、いつか人間は本当の神を、本当の世界を見るときが来ると思います。

それが宇宙の目的ですから。

『〈神道〉のこころ(旧版)』春秋社


サン・テグジュペリの書いた小説「星の王子さま」の中に素敵な言葉がある。

「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ」

「愛」も、「やさしさ」も、「思いやり」も、「幸せ」も、「感謝の気持ち」も、かんじんなことは何ひとつ目に見えない。

我々がこの現実社会で見えているものは、ぼう大な世界の中のほんの一部分。

いろいろな経験や勉強をすればするほど、何ひとつ分かっていない、何ひとつ見えていない、ということに気づく。

政治や、経済や、芸術や、そして人類に対しても…

長い年月が過ぎれば、その見方もがらっと変わる。

「我々人類は、いつか、本当の世界を見るときが来る」

見えない大切なものを信じられる人でありたい。


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