2014.12.14 |
|
見送り七歩 |
|
|
佐藤光浩氏の心に響く言葉より…
『「ありがとう」と言う方は何気なくても、言われる方はうれしい、「ありがとう」これをもっと素直に言い合おう』
これは、経営の神様と呼ばれる松下電器産業の創業者、松下幸之助の言葉。
そして、彼には「ありがとう」にまつわるこんな逸話があります。
新幹線に乗っていた夫婦が、すぐ近くの席に松下幸之助が座っていることに気がつきます。
夫は彼の大ファンで、どうしても挨拶がしたいと思い、声をかけようとします。
しかし、理由もなく話しかけても、相手にしてくれるかどうかわからない。
そこで妻が、みかんを差し入れて、きっかけを作ればいいのでは、と提案。
夫はさっそくみかんを購入し、彼に差し出すことにしました。
彼は、この申し出を快く受け入れ、嬉しそうに「これはありがとうございます」と言って、その場で皮をむいて食べはじめます。
夫はみかんを渡せたし、あの松下幸之助と話すこともでき、大満足で自分の席に戻りました。
そして、もうすぐ京都に着くという時です。
彼は夫婦の座席にやってきて、「先ほどはありがとうございました。とてもおいしかったです」と頭を下げました。
天下の松下幸之助が、下車する前にわざわざ挨拶をしにきてくれたと、夫婦は感動します。
しかし、話はまだ終わりませんでした。
京都駅で降りた彼は、その夫婦の座席が見える窓のところまで来て、深々と頭を下げ、夫婦の姿が見えなくなるまで見送ってくれたのです。
夫は彼の行為に涙します。
そして、家に帰るとすぐに電気屋さんに連絡。
自宅の電化製品すべてをナショナル製品に変えたそうです。
『ちょっといい話 (アルファポリス文庫)』アルファポリス文庫
「出迎え三歩、見送り七歩」という言葉がある。
お出迎えするときは、三歩前に出て内に招き入れ、お送りするときは、七歩外に出てお見送りをする、ということだ。
日本のおもてなしの原点がここにある。
お客様がお帰りときは、門口に立ち、その姿が見えなくなるまでお見送りする。
それを余韻効果と言うそうだ。
いつまでも、その印象が残るからだ。
特に、帰り際にその効果はより多く残る。
「ありがとう」という感謝の気持ちを込めてしっかりとお見送りをしたい。 |
|