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2014.10.16

心を支える言葉


弁護士・米国ニューヨーク州弁護士、写真家、増田英次氏の心に響く言葉より…

努力を通じて培われる信念、誇りがその人の真価を決め、見返りを求めない努力が大切だとしても、その努力を支える大きな武器が他にあるということです。

それは、その人をサポートする周りの人々の温かい、愛情に満ちた言葉にほかなりません。

ソチオリンピックで浅田真央選手のショートプログラム大失敗後に届けられた多くの人の声援は、とても励みになったと思います。

報道によれば「何かあったら助けに行くから」という、バンクーバー五輪後から師事した72歳の佐藤コーチの一言が支えになったと言われています。

これらに加えて現地でのフリープログラムの撮影時も、言葉の持つ素晴らしさに心打たれたことがありました。

いよいよ真央選手が滑りはじめるというときです。

前日の失敗もあり、それを受けて彼女がどのような演技をするか、大観衆が固唾を呑んで見守っているために、会場は静寂につつまれていました。

そのときです。

日本人の女性がとても通る大きな声で、

「真央ちゃんならできる!」

と叫んだのです。

ちなみに、後日談ですが、会場があまりにも静まり返っていたので、真央選手にもこの激励は届いたそうです。

この言葉に、撮影していた私は、不覚にも涙が出てしまい、撮影どころではありませんでした。

あの大復活にどれほど影響を与えたかはわかりませんが、心に響く珠玉のメッセージだったと思います。

パラリンピックで金メダルを取った鈴木猛史選手も、ライバルであり先輩でもある森井大輝選手から、

「猛史、お前だったら必ずいちばんになれるから、攻めてこい。仕掛けてこい!」

と激励され、見事金メダルを勝ち取ったのです。

私自身も周りの言葉によって、どれほど励まされたかわりません。

重度障がいの長男が生まれ、その事実の一部を誕生後数時間で知ったとき、私は病院で気を失い倒れました。

自分が犯した過去のいろいろな誤りのせいかもしれないと、自分を責めたこともあります。

「罰が当たったんじゃないの?」と平気で声をかけてくる先輩弁護士もいました。

今回の真央選手の失敗時にもそうでしたが、世の中にもいつもこういう人(しかも本人はそれほど悪気がないから余計にタチが悪い)が若干はいるものです。

しかし、その一方で、

「増田君は、逃げずに真正面から人生の困難にぶつかていったよ。本当にがんばったよ。その結果なんだから、いいじゃないか」

と諸般の事情から当時の妻と離婚をすることとなり、友人の弁護士に相談したとき、彼が励ましてくれました。

「仕事もしながら、(奥さんの)看病のために東奔西走もして、がんばっているのは本当にすごい」と励ましてくれる女性の友だちもいました。

幾多の困難から立ち上がってきても、なお心が折れそうになることはあるのです。

そんなとき、心を支えるのは、人の珠玉の言葉や励ましです。

言葉の持つ、素晴らしさをどうか忘れないでください。

そして、その言葉は、きっと相手のみならず、励ますあなたにも大きな成長をもたらすことも…。

『人生を変える 正しい努力の法則』かんき出版


交流分析という心理学に「ターゲットストローク」という言葉がある。

自分の存在を認めてくれる言葉や行動や働きかけを「ストローク」というが、「人はストロークを得るために生きている」とさえ言われる。

褒めたり、認めたり、共感したり、励ましたり、握手したり、ハグしたりすることだ。

その中でも、自分が一番欲しいストロークを「ターゲット・ストローク」と呼ぶ。

そのひと言でグッと胸がつまったり、涙が流れてしまうような、核心を突く言葉や働きかけ。

「大丈夫!絶対大丈夫!」

「あなたは本当にすごい人だ」

「本当によく頑張ったね」

心を支えてくれる珠玉の言葉は、人に生き抜く力を与えてくれる。


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