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2014.9.9

一日、どれだけありがとうと言いますか


石川洋氏の心に響く言葉より…

一日、どれだけありがとうという言葉を、私たち、口に出して言っているでしょうか。

私はある婦人から、そんな言葉を教えられたことがございました。

そのご婦人が小学校三年ぐらいのときだったと言います。

お父さんが、事情があって自殺をなすったそうです。

お母さんが自分に、諄々と説いてくれた。

お父さんが自殺をなすったということ、人の噂は七十五日と言って、噂の消えるときもある。

けれども、これから長い人生の中で、あなたが学校に入るとき、就職をするとき、結婚をするときには、必ず、

「あの家は、お父さんが自殺をなすったからね」

そういうことがささやかれる。

そして知らなかった人まで、

「へえ、そう。あの人、なんとなしに暗いと思ったら、やっぱりお父さん、自殺したの」

と言う。

知らない人までが自殺したことを口にして、自分の縁というものがだんだんとみじめなものになってくることがある。

それだけは消えることはない、覚悟しなさいとおっしゃったそうです。

「どうして生きたらいいの」

とお母さんに聞いたら、

「それもね、乗り越えることはできる。それは一日、十人の人に、真心を込めてありがとうというあいさつをすること。

一日十人の方にありがとうというあいさつをしたら、一年間3650人の人に、素晴らしい行為ができることなんだよ」

そのことをお母さんは言い残してくださったそうです。

一日十人の人に、ありがとうと言うこと。

そのありがとうという言葉を、最初は半信半疑でありがとうと言っていたけど、だんだんとありがとうという言葉を使い出すと、一人一人のありがたさが見えてくる。

そのありがたさが見えてくると、ありがとうじゃなくて「寒いですね」とか「お元気ですか」「夕べは眠れましたか」

あいさつのボキャブラリーがどんどんと増えてくる。

生きることの喜び、生き生きとした感情というものが出てくる。

それが出てくると、みんなの笑顔が見えてくる。

一日十人のありがとうが、自分の世界を作ったといいました。

そして今は、「明るく生きてるね」「立派なお母さんの教育だったね。すごいじゃないの」「人間だれだっていろんなことがあるからね。それを乗り越えるあの明るさは、学びたいね」と、人さまもおっしゃってくれるそうです。

そしてふっとこの前、人の話を聞いたら、自殺をなすった父に対して、「お父さんはよっぽどつらいことがあったんだろうね」

お父さんの死んだことまでが、別な意味で評価をされている。

一日、どれだけありがとうと言いますか。

『やるなら決めよ 決めたら迷うな』勉誠出版


過去にやったことや言ってしまったことは生涯覆(くつがえ)らない、とはよく言われることだ。

「覆水盆(ふくすいぼん)に返らず」のことわざの通りだ。

しかしながら、一度起こってしまった事実は変えることはできないが、その印象は変えることができる。

印象は、見方によって変わる。

見方は、言葉によって変わる。

だから…

たとえ過去さえも、言葉によって変えることができる。

暗くて否定的な言葉を使う人は「暗い人」に見られ、明るくて肯定的な言葉を使う人は「明るい人」に見られる。

最も明るくて肯定的な言葉は、「ありがとう」という感謝の言葉。

一日、どれだけのありがとうを言っているか…

「ありがとう」の言葉あふれる人生でありたい。


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